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子猫を保護した話~ミミちゃんが教えてくれたこと~①

つい最近のことだが、なりゆきで「子猫を保護する」ということをした。
出会いは家の近所で、車も人も良く通る住宅街の細道に、子猫の背丈では抜け出せないような段ボールの中にぽつんと放置されているのを、同居人が見つけたのだ。
子猫の今後を危惧した同居人がその子猫を連れ帰り、突然我が家にやって来た。

そこからわずか5日後、知り合いのご家族が「ぜひ我が家の家族に迎え入れたい」という連絡が入り、捨て猫同然だった子猫は劇的に新しい家族のもとへ旅立った。

今回「保護」なんてことを全く意識していたわけではないけれど、わずか400グラムの小さな命と一緒に過ごした日々が私の中で余韻を残していて、それが忘れられない。

SNSで発信していた日記とともに振り返って書き起こしていきたい。

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【1日目】
なんと、自宅付近に捨て猫同然な状態でいた子猫がおり、先ほど家で保護しました。
子猫の保護なんてしたことはないので、こんなことは初めてです。
タオルやら水やら食べ物やらをあわてて準備。
突然こんなドラマに遭遇してしまうなんて…君はどこから来たの??

病院で捨て猫さんを診てもらう。
「命への責任」は決して軽くないのはわかる。いろいろ聞かれたあとに保護の責任を問われたけど、じゃあだれも保護しなかったらどうなっていたんだろう。

今日保護した子猫さんですが、病院へ連れて行ったところ、推定1.5〜2ヶ月の女の子だと判明しました。
目やにと鼻水が出ていたので診てもらったら「風邪をひいている」とのこと。特別な病気をしてなくて良かった。しばらく家で療養してもらうことに。風邪のせいかなかなかご飯を食べないのが心配ですが…。
耳がピンとたっていてかわいいこなので、仮で『ミミちゃん』と呼んでいます。
とても人懐こいネコで、ダンボールハウスから出したらすり寄って、膝に乗って(!)きました。
病気が治るまで看病して、そこから里親探し!と思っていますが、ぜひもし関心ある方がいたら見に来てください。
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*保護と責任*

私は同居人とその飼っている猫(2歳)とルームシェアをしているものの、たまにエサをあげるぐらいで、動物のお世話をしたこともないし、猫に対する知識もほとんどない。
こんな人が子猫を動物病院に連れて行ったとき、果たして先生のいうことが理解できるのか、子猫が大変な病気を持っていたらどうしようなどと私はモヤモヤ考えながら保護初日に動物病院へ向かった。
病院に着いて、フロントで「目やにや鼻水が出ているので風邪かもしれない」と伝えるやいなや「他の猫や犬に風邪を移してしまう可能性もあるので車の中で待っていてください」と言われ、健康診断を兼ねて家猫と一緒に来た同居人と離れ離れになってしまった。しばらく車の中で待ってから、受付の方に誘導され、診察室に1人と1匹で待たされた後に先生がやって来た。
まず子猫の様子を見てもらいながら、保護の経緯を説明した。説明を聞いた後で「それで、これから飼うつもり?」と問われた。
保護したばかりで子猫を飼うのは考えていない。病気が治るまでは保護したいが…と正直な気持ちを伝えたところ「猫を飼うのは楽しいと思うよ。」と言われた。
そう言ったもつかの間「でも保護っていうのは慎重にしたほうが良いんだよ。子猫は成猫より育てるのに手がかかるし。しかも今回保護した子は風邪もひいているわけだから、普通の子猫よりも手がかかるんだよ。育てられるかな。もし育てられないなら保健所へもっていくしかないし。」と急に話のトーンが変わり、私は驚いた。
私が猫は育てたことがないと言ったから、聞いている様子が頼りないように見えたからこんなことを言われたのか、さらに保護についても問われ、その場でいっぺんには答えられなかった。
そんなことを話しているうちに子猫が診察台を動き回り、落ちそうになっていたのに気づいてキャッチしようとしたが、台からストンと下に落ちてしまった。
「ほら!ちゃんと見てなきゃ!」そういわれた時、内臓をぎゅっとつかまれた気がした。
その後、風邪の注射をして、毎日目と鼻に注す点眼の薬をもらい「明日も来てください」と伝えられた。
動物病院の先生が伝えたかったことは、「簡単に保護はせず、軽い気持ちで動物を育てないで」ということだったのかもしれない。
だが今回は子猫の周りの状況を見てどうしようもなかったから保護したのである。もし保護した猫を預かってくれる動物愛護センターや保護団体が近くにあったら、自分で引き取ることはしなかっただろう。でもそのような場所や団体は近くにないし、現に身近な知り合いの方が自力で猫を保護してそのまま家族として迎え入れたケースを私は知っていた。
人間が保護なんてせずに、野良猫でも生きられる環境であればいいのだが、捨てられた猫や親猫から育児放棄された子猫が守られる環境も仕組みもないから個人で保護せざるを得ない。
さらにこうやって子猫を保護せざるを得なかったことに関して、もう少し前向きな方向へもっていくことは出来なかったのかなと感じてしまった。
忙しい現代社会の中で、動物を保護しない、飼わない理由は正直沢山ある。それでももしかしたら誰でも身の回りで動物を保護することに直面する中で、いきなり育てる覚悟やハードルを上げるのではなく、猫についての知識や育て方などを簡単でも指導したり、「ここでサポートが受けられます」と困ったときに相談しに来られる場としての雰囲気づくりをしたりすることが、動物を捨てない1つの抑止力になるのではないのだろうか。

動物を飼ったことがない私がまだ知らないことがあるのかもしれないが、そう感じてしまった。

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