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実家

先日、八王子の実家に帰った。

八王子で23年間過ごして、その後も「八王子出身者」としての人生を当然歩んでいるわけだけど
もうかれこれ30年以上経ってもその空気感が、マイナーチェンジこそすれ
ほとんど変わらないのはなんだか気味悪さすら感じる。

嫌いではない。まったく嫌いではなくむしろ愛着なんだけど、
東京都にありながらあの感じを保っているのはやっぱり面白い。
普通に魅力的な街でありつつ「いじられシロ」みたいなものがあるのが
なんとも憎めなくてかわいくて好きなところだったりする。

そんな八王子で、もうすぐ4歳になる娘を連れて、はじめての2人での外泊をした。
外泊っていっても実家に泊まっただけだけど。
むかし長いこと住んだ場所にあるかつての自分の家にある、
自分が子供のころ寝ていた部屋で自分の娘と一緒に寝た。
別に一般的に珍しい経験でもないしなんでもない話なんだけどなぜか妙な感覚で、
その普遍的な妙な感覚がとてつもなく自分にとって重要で
絶対あたりまえと思っちゃいけないし絶対この感覚や感触を一つ一つ一生忘れちゃいけないなと思った。

父と母が作る飯は20年前と味がまったく変わらなくて、
それを娘がパクパク食べてる姿や、音や、こぼしたごはんつぶまでが、
なんとも自分にとって何にも代えられない様子たちだなと思いながら、
腹いっぱい食べて酒もたくさん飲んでしまった。


特別っぽいことじゃないことがこんなに自分にとって特別だと思わなかった。

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