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「スマート」な社会に関する考察

10月15日に東京日経ホールで、一般社団法人スマートシティ・インスティテュート設営記念フォーラムが実施されました(イベント映像)。ひょんなことから、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)の南雲さんとお知り合いになったことがきっかけで、このスマートシティ・インスティテュートにExecutive Advisorという立場で参加させていただいています。

この数年、人々が住みやすい街って何だろう?そんな街にITがどんな形で存在しうるんだろうって考える機会が増えていて、スマートシティという枠組みで何か貢献できないだろうかと思ったのがきっかけ。日本のスマートシティの発展なんて大それたことまではわからないけれども、北欧での街づくりや社会におけるITの利用を研究する過程で、私が得たり考えたりした知見などを提供したり、日本でもっと人を中心にした新しい街づくりが進むための何らかの貢献ができる機会になればなと思っています。

私は、午後の「ヒューマンコンシャスとIoT、AI、ビッグデータで実現するスマートシティ」というパネルディスカッションで、鎌倉市松尾市長、東京大学先端科学研究所小泉秀樹教授、慶應義塾大学大学院蟹江憲史教授、会津大学藤井靖史客員准教授 、国際大学GLOCOM櫻井美穂子 准教授 と一緒にパネルディスカッションに登壇してきました。午前プログラムの市長たちの講演も含め、日本でも面白い取り組みが多々見られていることを知ったり、熱い志を持って地域のスマートシティに熱心に取り組んでいる方々の話を聞いて、日本、面白い!って思ったり。

過去5年ほどデンマークのスマートシティの視察にいらっしゃる日本の人と話していると「スマートシティ」という語からハイテク都市をイメージして来る人が多い印象を受けていて、日本がイメージする「スマート」な社会って一体どんな社会なんだろうってずっと悩ましく思ってました。「スマート」な社会が、仮にサイネージが街角に並べられ、ロボットが歩き回り、ドローンが飛び交う、まるでブレードランナーの世界なのであれば、個人的にはとても違和感を感じるから。そんなイメージは、少なくともデンマークをはじめとした北欧のスマートシティとは違うし、私が見たい・住みたい・創りたい未来の街ではないなと思ったのです。

セッションでは、そんなことを話して、さらに、人がITの力で快適さや幸せを拡張しながら暮らすための街を創る一つの方法としてリビングラボの概念や「リビングラボの手引き」を紹介したところ予想以上に関心を持ってもらえ、登壇後、多くの方からお声がけいただきました。

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ぜひリビングラボを実施したい、「手引き」を使いたいと実践者や企業の方や、自治体の方などから声をかけられ、嬉しい驚きでした。リビングラボが日本でもっと広がってくれるといいなと思いつつ、手元の残り少ない「手引き」をおすそ分け。「リビングラボの手引き(上部イラスト)」は、NTT研究所の赤坂さんらと2018年に作成したもの。当時デンマークはコペンハーゲンに住んでいたデザイナのYada Tomomiさんにぴったりフィットのイラストを全編にわたり描いていただき、自分なりの思い入れがたくさん詰まった非売品です:) この手引書を活用して、日本でリビングラボが実践され、もっとITCが日常生活に組み込まれることで人々を幸せにする社会、スマートな街が広がるといいなと思っています。

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