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「国家デジタル化ITアカデミーの設立」


行政情報システム」誌2020年6月号に「デンマーク政府内での国家デジタル化ITアカデミーの設立」というタイトルのレポートが掲載されました。以前デンマーク電子化庁の知り合いとお話しした時に、アカデミーを作るんだよねと言われて、気になっていたこともあり、この機会に詳細をレポートしてみました。

安岡美佳. デンマーク政府内での国家デジタル化ITアカデミーの設立. 行政情報システム.pp.60-65. 6月号. 2020.
Mika Yasuoka. The role of National Digital IT Academy by Denmark Agency of Digitalization. Administration & Information Systems. pp.60-65. Vol.6. 2020.

参加型デザインによるIT開発には、単に開発SIer、プログラマだけではなく、当事者を含め関連各所の参加が不可欠と言われるのだけれども、どのようなスタンスでコミットしたらいいのか、どのように共創したらいいのか、実際に実施しようとするとわからないことだらけだ。この状況は、日本だけでなく北欧でも変わらない。

80年代以降、IT開発や計算機科学系を学んできた北欧の人たちは、「参加型デザイン」の基礎知識を大学のプログラムで学習しているが、ITと全く関係ない分野だったり、それ以前に学んでいたりすると、言葉は聞いていても実感として理解できないことも多いし、具体的にどうしたらいいのか次のステップに悩む。組織全体のデジタルトランスフォーメーションが難しいのは、それが意味がない変革だからではなく、概念を知らない、知っていても腹落ちしてないからだ。

組織を変えたい、ITを導入したいと考えたときに、業務担当者だけでなく法務や事務やそのほかの部門の人たちも一緒に共通認識を持つことが絶対的に不可欠なんだけれども、それが理解されてないことが多い。外向けに、うちらアジャイルやってます、デザイン手法取り入れてます、と外部向けマーケティングをするだけじゃなくて、ウチ向けのマーケティング、インターナルマーケティングが大切だ。そして、組織全体に同じナリッジを共有させるには、「学習」による文化の構築が遠回りなようでいて一番手っ取り早い。

今回調べていてわかったことだけれども、英国の電子政府もアカデミを持っているし、そのほかデンマークのイノベティブといわれる大企業は押し並べて社内教育システムを活用してITの知見やデザインシンキング/参加型デザインの基礎を全社的に学び、業務に取り入れている。

2020年6月号は、デンマーク政府のデジタルデバイドの取り組みやデンマークデザインセンターのクリスチャン・ベイソンへのインタビューによるレポートがあって、個人的にも興味深いものになっています。

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