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データに基づいた分析が社会へ与える影響

定期的に見ている情報の一つに、デンマーク統計局の統計報告がある。登録しているので、新しい統計レポートが出されると自動配信されるのだが、最近のレポートで興味深いものがあった。「だれがCOVID -19のワクチンを打ったか(Hvem er vaccineret mod COVID-19?)」と題されたものである。

「デンマークに住む人々で5歳以上がワクチン接種の機会を得て約90%がワクチンを摂取した」とされるワクチン接種の詳細として、年齢、地域、出身、教育、雇用の有無で分析をしている。そこから分かった傾向は次のようなもの。

  • 2023年1月1日時点で、91 %の成人はワクチン接種を完了(デンマークの場合3回)している。摂取率が最も高いのは、高齢者で、もっとも低いのは、18-39歳の年齢グループである.

  • 全ての自治体において80%の大人がワクチン接種をしている。摂取率はAllerødとSkanderborg市で95% の最高値を示しIshøj市が最低の摂取率で81 %である。

  • 成人の移民のうち、77%はワクチン接種をしている。移民のうち、ルーマニア(53%)とポーランド(57%)が摂取率が低い。94%のデンマーク人成人は、ワクチン摂取している。

  • 雇用されている人は、失業中の人に比べて、ワクチン接種率が高い。雇用されている30-64歳の93%はワクチン接種しており、同様の年齢グループでは、失業者の81%が摂取している。

  • 5-11歳の40%がワクチン接種をしている。子供でも年齢が上がると接種率は上がり、5歳は22%である一方、11歳は57%である。

デンマークの統計は、早く正確で、そして全国統計である。このように、データが全数調査になってどれぐらいが経つのだろう。

「国民の中からランダムに1000人選びました。解答率は79%。」などではなく、全数調査である。20年という時間はかかったものの、多くの手続きがデジタル化され、今統計局が出しているデータは、多くの場合「全国民の統計」だ。

日本の国勢調査は全国民が対象と言われているが、5年に一度で「9月下旬から、国勢調査員が各世帯を訪問して調査票を配布し、各世帯で記入していただいた調査票は、10月上旬に国勢調査員が直接回収にうかが」うのだそうだ。2020年の調査においては回答率は81.3%であり、かなり高いと言えるだろうが、それでも100%には程遠く、また、正確性がどれぐらい担保されているのだろうか。

このまま、データの利活用において、日本と北欧諸国の差が広がってしまわないか心配になる。

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