読書レポ|客観性の落とし穴
「平均介護度はどれくらいですか?」
施設を見学に来る同業者の大半から聞かれる質問。
この質問にどんな意味があるのか、それとも大して意味はないけど“とりあえず”聞いているのか、僕には分からない。
その人の日常生活にどれくらいの介護が必要かを判定する指標として、要介護度というスケールが考案された。
介護保険の適正な給付には、何らかの基準が必要なので、客観的な数字を用いることは、理にかなっている。
しかし、“施設の平均介護度”には、何の意味があるのだろう。
「有料なのに高いんですね!それは大変でしょう。」と言われてもピンとこない。
平均介護度は数値化された客観的なデータ…なのかもしれない。
しかし、その数値に、人となりや、暮らしのこだわり、一人ひとりの個別性は一切反映されていない。
それなのに、客観的な数字で表すことで“分かった気になる”のだから恐ろしい。
福祉の対象は“すべての人”である。
本文を引用する。
僕たちは、客観的なデータを使いつつも、客観的データが取りこぼしているかもしれない個別的経験を見逃さないようにしたい。
『客観性の落とし穴』村上靖彦さん
めでたしめでたし
立崎直樹
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