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介護現場の数字⑤真の課題を読み解く

数字が苦手な介護現場のリーダーに、数字の読み方をお伝えするnote。
今日の記事は前回の続きなので、まだ前回の記事を読んでいない方は、先にそちらを読んでいただけるとより分かりやすいと思います。

ということで唐突ですが、デイサービスBの管理者の立場で数字を読んでいきましょう。

デイサービスAの終了人数は2名
 〔ご逝去1名、要介護認定が非該当(自立)となった1名〕
デイサービスBの終了人数は6名
 〔入院1名、生活機能低下2名、本人の意思3名〕
介護現場の数字③比較・分解・比較のくり返し

デイサービスAとデイサービスBは、ともに先月に比べて利用者が1名増加しました。
つまり、デイサービスBの「新規利用者」は7名。
営業活動はうまくいっていると言えそうです。

しかし、デイサービスAと比較して終了人数が多いため、純増数は1名にとどまっています。
終了の理由をみると「予防できる終了」が多くあることがわかります。

入院:完全に防ぐことはできませんが、機能訓練による転倒予防や、肺炎の予防など手の打ちようはあります。
生活機能低下:在宅での生活状況が大きく影響しますが、デイサービス利用中の活動量を増やしたり、在宅環境での活動を意識した機能訓練によって、生活機能低下はある程度予防することができます。
本人の意思:デイサービスに通ったけど「もう行きたくない」と本人が思った。ということですので、これはデイサービス側で対応可能です。

以上のことから、デイサービスBの課題は新規利用者が集まらないことではなく、防げる終了者が多いことであるとわかります。
そこで利用者数を増やすために取るべき戦略は、「新規利用者をもっと増やす」ことよりも「予防できる終了を減らす」こと、となります。

管理職にとって大切なのは、数字を読むことであり、読むための分析手法を身につけることです。

数字は現実を客観的に表してくれます。
数字によって明らかになった現実から課題を見出し、課題を解決するための対策を考え、実行するのがマネジャーの役割です。

デイサービスA,Bともに利用者数が思うように伸びないという問題を抱えていました。
数字で分析してみると、原因となる課題はまったく正反対のものでした。

新規利用者の獲得に課題があるデイサービスAが、終了者数を減らす戦略をとっても、これ以上終了者数は増えないので、利用者数は伸びません。

新規利用者の確保はできているものの、終了者が多いデイサービスBが営業戦略を強化して新規利用者を増やしても、サービス自体を見直さなければ、出ていく数(終了者)も増えるため、利用者数は伸びません。

数字は分解と比較を繰り返して“読む”ものだとお伝えしてきました。
真の課題が見つかるまで分解と比較を繰り返し、数字を読む手法を身につければ、問題解決の精度も高まります。

何度も繰り返し練習すれば、誰でも数字は読めるようになります。
数字を読めるようになると、マネジメントはもっと楽しくなりますよ。


めでたしめでたし


立崎直樹

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