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介護現場の数字②分解

介護現場の数字を学ぶシリーズ
前回は「比較をすると数字に意味が生まれる」という話をしました。

比較対象としてもっとも身近な数字が、自事業所の前月の実績です。
前月と比べて、増えたか減ったか。
これは誰でもできますね。

例えば高齢者施設の入居者数が前月は80人、今月が82人ならば、2人増えた。というのが比較です。
ただ、この結果だけで「あー、よかったね」で終わってはいけません。

マネジャーが数字を扱うのは、経営数値を良くするためです。ただ比較して増えた・減ったで一喜一憂しているだけでは、数字を変動させることはできません。
数字を変動させるには、戦略と行動が必要です。

戦略を立てるプロセスは、①現状を正しく知り、②課題を見つけて、③課題をクリアするための策を立てる。です。
①の現状を正しく測るためのツールこそ「数字」なのです。
12345...はただの記号です。
数字は分析をすることで意味が生まれます。
「比較」は分析のための第一歩でした。

数値分析の2歩目は「分解」です。

先ほどの例
入居者数が前月の80人から82人に増えた。
を分解します。

新しく2人入居したから2人増えたんでしょう?
分解が苦手な人はこのように考えます。

入居者数の増減を分解するとこのようになります。
(新規入居者数)−(退去者数)=(入居者数の増減)

例に当てはめるならば、答え(増減)が2人になる数字はすべて正解です。

(新規入居者数2)−(退去者数0)=2人

(新規10)-(退去8)=2人

答え(増減)は2人です。

介護現場のマネジャーならば体感として分かると思いますが、新規2人と新規10人では、かかる労力はまったく違います。

それを一括りに「前月より2名増えた」と分析しても意味がないことは分かりますね。

前月との入居者数の差を、新規入居者数と退去者数に分ける。こういう工程を分解といいます。

今回は最も単純に比較できる高齢者施設の入居者数を例に説明しました。簡単すぎて「そんなこと分かってるよ」と思ったかもしれません。
しかし、もっと高度な経営分析をする際にも「比較と分解」が基礎になります
数字が得意な人は、「何と何を比較したらいいか」「どんなふうに分解したら事実がみえるか」を常に考えながら数字を扱っているのです。


めでたしめでたし

立崎直樹

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