見出し画像

【超入門】なぜ利益が必要なのか

介護は日常生活に何らかの障害がある人の生活を支える仕事です。介護職はその仕事で給料を得て自身の生計を立てています。

一生懸命働いた介護スタッフが、働いた分の給料を受け取れるように適正な利益を生み出せるようにすることは、マネジャーの大切な役割です。

現場の介護職からマネジャーになった人の中には、数字に苦手意識を持っている人がたくさんいます。これまで目の前の高齢者やスタッフのことだけを考えてきた人が、急に売上とか利益といわれて戸惑うのは無理もありません。今までは目の前の人のケアをしっかりやっていれば、数字なんか気にしなくても給料日には銀行にお金が振り込まれるのが当たり前だったのですから。


今回は数字が苦手なマネジャーに向けた超基礎的なお話です。経営者や、すでに数字を管理しているマネジャーにとっては、何も新しく得ることのないな話ですので、どうぞ他の記事を読んでください。

ただ、もしかすると「数字の苦手な人への伝え方」の参考にはなるかもしれません。


まずは売上。会社に入るお金です。

介護施設の場合、月々の管理費や家賃相当額、食費、介護サービス利用料などがあります。そのほか、おむつ代やレクリエーション費、介護保険外のサービス利用料などを徴収しているところもあります。

そして原価。売上を上げるために会社が支払うお金です。

介護施設では、人件費がもっとも大きな割合を占めます。他にも土地建物の賃料、光熱費、消耗品費など様々な費用が発生します。

売上から原価を引いて残った金額が利益です。原価よりも売上の方が多ければ黒字、原価の方が多ければ赤字になります。


企業は利益の一部を税金として納めます。税金を支払ったあとに残ったお金が会社の最終的な利益です。「利益は会社の上層部が山分けしてるんじゃないの?出た利益はすべて従業員に分配すべきだ!」と考えている人もいるかもしれません。しかし、もし本当に利益をすべて従業員に分配したら、会社の経営はとても危険な状態になります。

たとえば現場のスタッフがもっと働きやすくするためにIT化を進めるときには、パソコンやスマートフォン、新しいシステムを購入するまとまったお金が必要です。もし利益をすべて社員に分配し、会社の手元にお金が残っていなかったら、これらを購入できず、IT化を進めることができずに、結局働きやすさも改善されません。

また、入浴設備が突然故障したとき、会社にお金がなかったら修理することもできません。最悪の場合、しばらく入浴ができないという事態も考えられます。


利益はお客様へのサービス改善や、社員が働きやすくなるようなことに使います。もしすべて社員に分配したら、社員の手元には現金が回ってきますが、会社としてサービスの改善や労働環境の改善に着手することができなくなってしまいます。もちろん利益の一部は待遇(給与・賞与)改善にも使われます。

利益が出ずに、お客さまへのサービスや社員への処遇改善されない会社と、適正な利益を出して改善し続ける会社、どちらがお客さまや働く人に選ばれるのかは一目瞭然です。そうなると、お客様に選ばれない会社はさらに売上が減り、社員に対し今まで通りの給料を支払うことさえも難しくなっていきます。さらに悪化すると会社自体が存続の危機に陥ってしまいます。

会社のお金が底をついて、誰も事業を継続するためのお金を貸してくれなければ、会社は継続できません。これが倒産です。


サービスを改善し働きやすい環境を整えることで、お客さまと社員をしあわせにするには適正な利益が必要です。最終的な利益の分配方法は経営者の課題ですが、事業(高齢者施設の運営)において適切な利益が出るように整えるのは現場の管理者の課題です。

マネジャーになったら、「数字が嫌い」などと言っている場合ではありません。嫌いでも苦手でも勉強して、利益が出るようにすることがお客さまとスタッフを守ることになります。嫌いは主観です。考え方を変えるのです。「数字と仲良くなろう」と。


立崎 直樹

サポートいただいたお金は、介護医療現場で奮闘するスタッフの育成のための活動資金に全額充てさせていただきます。 サポートを通して、次代の介護スタッフの育成に参加しませんか。