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H a p p a n o U p d a t e s - No.251

6月の葉っぱの坑夫の更新情報です。エストニアの作家の短編連作・第6話「幸せの2羽の青い鳥」を連載中です。全16回。
・幸せの2羽の青い鳥 #6 〜#13
・次のプロジェクト
・最近思ったこと、考えたこと

Title photo by Judy Gallagher, Locust Digitate Leafminer(CC BY 2.0):葉っぱの坑夫の仕事

幸せの2羽の青い鳥(全16回)
アウグス・ガイリ著 だいこくかずえ訳

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アウグス・ガイリ(1891 - 1960)
エストニアを代表する後期ロマン主義の作家。美しさと醜さという相反する存在に焦点を置いて作品を書いた。19歳で作家デビュー。
Title painting by Estonian artist, Konrad Mägi(1878-1925)

日本でほとんど翻訳されることないエストニアの小説を連載しています。
ニペルナーティという男はいったい何者なのか。口から飛び出す嘘かまことかというトンデモ話の数々、嘘の上塗り、しかし卑しいことで頭がいっぱいのクズかといえばそうではない。金銭には無頓着で、自分の利益ではなく人のために身を粉にして働いたりします。第6話では貧しい家の女の子カティを連れ出し、幸せにするために「大金持ち」である自分の農場へと向かったのですが……
#6 ニペルナーティの叔父さん #7 雄牛の値段 #8 決闘 
#9 救世主ニペルナーティ #10 収穫期 #11 カティとヤーク
#12 結婚話 #13 カティは誰のもの?

□ 次のプロジェクト
ニペルナーティの物語も現在連載中のものを終えると、残りあと1話になりました。全話完結までにはまだ2ヶ月ほどかかりますが、そろそろ次のプロジェクトに入ろうと、作品探しをはじめています。
これは楽しくもあるけれど、迷いや苦労もいろいろある作業です。翻訳の場合、著者の許可が得られるかは大きなポイントですが、最終的には確信をもってその作品に取り組めるかどうかが決め手になってきます。
商業出版では難しそうな(利益が見込みにくい)作品で、とはいえ面白く、いまを生きる人間が読んで意味を深く感じられるもの、といったことが一つの目安になっています。

それとは別に、先月連載の終わった評伝『モーリス・ラヴェルの生涯』をパッケージの本にする作業もスタートさせました。その制作日誌のようなものを6月22日付の「WordやPagesで……」↓ に書いています。

□ 最近思ったこと、考えたこと(happano journal)
06.08/23 「表現の乏しさ」が、言葉の世界を豊かにする?
06.22/23 WordやPagesで出版用の本が作れるのか、やってみた 【1】 

6月8日の記事は、アゴタ・クリストフの作品にまつわる話です。ここのところずっと、そのクリストフの『悪童日記』3部作を再読しています。といっても、9割がたはAudibleの朗読版を耳で聞いているのですが。耳で小説を聞くというのは初めての体験です。読み手の声の個性が気になるのでは、と思っていましたが、この3部作について言えば、クオリティが高く楽しめました。くわばらあきらという声優・舞台俳優の方が読んでいて、7色の声の持ち主なのです。登場する小さな男の子から年老いた女性まで、嫌味なく読み替えています。同時に、『悪童日記』という作品が、朗読に適したテキストであることにも気づかされました。字を目で追っていたときにはわからなかったこと、発見です。

Web Press 葉っぱの坑夫/エディター大黒和恵/editor@happano.org

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