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カレーですよ4310(新宿 パトワール)カーンさんのC弁当とビリヤニ。

やっと、という感じで木枯らしが吹き始めた。そしてこうなると早いのだ。
寒い寒い。寒くなってきたなと思っていたら3日も経たずに息が白い季節になった。

カレーですよ。

寒くなってきたからあそこのカレーとかいうのはないのだけれど。いつでもカレーなんだけれど。時間帯、夜〜深夜に食べたいカレーっていうのはある。

もう12月、当然深夜に近づけば近づくほど寒くなる。クルマのアウターテンプメーターが3度を表示する。これはちょいと外に出るのは辛くなってきた。
それでも定期作業のスパイス摂取は怠れない。この日は新宿へ。

「パトワール」

のカーンさんが好きだ。
目元にちょっとフレディマーキュリー入ったイケメンからの、思いっきりの笑顔とこんばんはにはなんだか外の北風を忘れさせるものがある。いつも、深夜に行くことに決めている。

いつも通り、

「C弁当 - キーマカレー弁当」

を頼んだ。

22時だというのに狭い店内は結構な賑わいで、ちょうど客が一度引くなぎの時間。
かと思いきや、また1組客がやってくる。繁盛していていいねえ。
カーンさんとおしゃべりしている中で「たまにビリヤニ作ってるでしょ。あれ、おいしそうだねえ!」と伝えると「きょう、あるよ。食べていきなよ」と誘われた。断る理由もなく、いただくことに決めた。

のんびり待っていると程なく出てきた、

「チキンビリヤニ」

これがいい意味でのクセがある。カーンさんの味がこれなのだ。

香りがとても強く心地良く、コヨーテブラウンとでも言おうか、長粒米を炊き上げたごはんはそんな色をしている。その中に控えめにカナリアイエローの明るい色のごはんが少し混じるというビジュアル。
チキンもしっかりドラムスティックと他の部位が混成で結構な量、入っている。

おやっと思ったのがなにかあんずの実のようなものが入っている。これ、面白いなあ。こういう感じは初めてだ。
カーンさんに「これはなに?タマリンドじゃないし、プルーン?あんず?」と聞くと「ウルドゥー語ではアルバハというんだよ」と教えてくれた。

アルハバ、ちょっと知らない食べ物だな。カーンさんが親切に調理前のものを出してくれて、食べてみな、といくつか皿にくれた。食べてみると、やはり日本人の感覚から行くと小粒の杏そのものだ。
これがビリヤニによく合っており、好きな感じ。ドライフルーツなど入るところ、中東寄りの感覚を感じてしまう。

口をもぐもぐとさせながら調理の様子をカウンターからのぞく。他のお客のバターチキンの注文が入ったようだ。チャラい感じのおにいちゃんがおねえちゃんに軽口をたたきながら注文しているのをみた。
見ればグレイヴィが用意されているわけではない。その場で一皿分づつ仕上げてゆくのだ。

以前連載誌のインタビューで話を聞いたときのことを思い出す。

カーンさん、本当はグレイヴィを用意したりもっと楽にやりたいのだ、と言う。しかしこの店の狭さでは冷凍庫や冷蔵庫の大きなものは入れられず、冷蔵保存などできる食材が非常に限られる。だからカレー類などほとんど一から作るしかないのだそうだ。それはつまり、だからこそのこのおいしさとフレッシュさ、と言うところに必然としてつながっている。なんとまあ、面白い。
少し昔のインドやパキスタンの食堂と同じ、と言うことではあるまいか。そのことを言うとカーンさんは笑いながら少し肩をすくてみせた。そんなことを思い出した。結果論であるが、それもあるし、カーンさんの腕もあるし、でパトワール新宿店のカレーはうまい。

カレーと共にナーン焼きの工程も進んでいく。カウンターの端はお弁当待ちの席であると共に、タンドール調理のかぶりつきの場所。ナーンがたちまち焼き上がるのを楽しくのぞける。

持ち手のないボウルのような鍋の中でチキンを炒めてマサラや生姜やトマトが放り込まれ、どんどんカレーの形になってゆく。取ってがないからやっとこやプライヤー的な道具で鍋の縁を掴んできようにグルグルと回していく。その手際に目を奪われたままだ。なんという楽しくも素晴らしい光景だろう。

帰り際、お会計で「ビリヤニはサービス」「あんなフルサイズのサービスがあるか!」「僕がすすめたから」「かねうけとれ」という楽しい一悶着で心が温まる深夜。

さて、弁当をぶら下げてブラブラと出かけるとしよう。深夜に遠出するのはわたしの趣味の一つなのだ。

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