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好きにかけるカロリー

 好きを共有するにあたり1番にもってくるのは何だろう。好きなお菓子、お店、それとも場所。ずっと好きなものもあれば、今自分の中でブームがきているものもある。これまで誰かに好きを紹介するなら、という想像を何度もしてきたが、やっぱり1番に紹介したいのはあるバンドだ。
 どのアーティストが好き?どんな音楽が好き?こういったよく問われる質問に対して私はアーティスト名だけを端的に答えてきた。なぜ好きなのか、どこが魅力的なのかといった話をふくらませることは避けてきた。自信を持って回えたときの相手の反応に気分を損なってきたからだ。「自身の好きだと思う気持ちが大切なのであって他人の意見なんて関係ない、気にしない。」この考えは真っ当だと思う、97%くらいは本気でそう思っている。でもそれでも、そうなんだ~という無関心な返事や、あ~あの主題歌のという批評的な返事に、無理にひねり出してきた曲名にどうしてもテンションは下がる。好きは人それぞれだから相手は悪くないし、私も逆の立場なら同じ反応をするだろう。自己満足なんだけれども、どうしても大切な気持ちを損なわれたくなくて、心地よく気分良くずっと好きでいたいから話を避けてきたのである。
 私は胸を張ってこのバンドが大好きだというし、同じ時代を生きていて本当に幸運だと思っているし、同じ母語話者でよかったと心底感謝している。それを前提に、私の好きとの向き合い方について語りたい。本当に好きなバンドがいたとして、そのファンはどんな向き合い方をしていると思う?歌詞はすべて暗唱できて、イントロクイズは全問正解?ライブは全国ツアーについていって可能な限り参加する?雑誌のインタビュー記事はきりぬいて、写真やポスターを部屋の壁一面に貼り付けて毎朝挨拶している?私の答えはすべてNo。メロディー聞いても曲名思い出せないときはあるし、歌詞のあやふやな曲がある(特に英語の部分)。ライブは1度のツアーに参加は1回と決めているし、遠征はしない。一時期やっていた雑誌とポスター収集はやめたし部屋にもかざっていない。ここまでのめりこめていない自分がファンを語っていいのか、一番好きなバンドだと言っていいのか昔は少し悩んだ、とことんのめりこめる人が羨ましかった。でも最近、学生時代の友達に「まだ好きなんだ、ずっと好きだね」と驚かれて気づいた。私が長くずっと好きでいられるのはこの距離感のおかげなのかもしれない。日常においてもふと思い出す、いて当たり前の存在。いま夢中になっているというよりは、曲を聞いて口ずさみ、メンバーの日記を確認して、ライブは定期的に行くのが自然で日常。
 彼らの音楽を愛しているけれど、中でもライブが最も素晴らしい。生の歌、音、一体感はCDでもDVDでも味わえない。その場にいて、体験するからこそ味わえるもの、価値がある。彼らの真剣に音楽に取り組む姿勢、その本気が伝わってくるから。ボーカルのMCにはいつだって勇気づけられている。歌詞が嘘偽りのない、心からの言葉だと信じさせてくれる。そして彼らの大事にしている言葉や思いを貫き通している姿勢をずっと証明して見せてくれるから、ずっと応援したいと思う。だから次のライブまでに、一生懸命がんばろうと自らを奮い立たせることができる。私が彼らを誇りに思うように、彼らにとっても胸をはれるファン、Crewでいたいと思う。音楽の技術的なことは私にはわからない。音楽的に素晴らしいかどうかとか正直どうでもいい。ただその本気に熱意に、どうしようもなく感情が揺さぶられる。涙が出てくる。感動という一言ではこの感情を表せられない。メロディーや歌詞が好きという気持ちだけではきっとずっと好きではいられなかった。今も大好きで、これからもずっと応援したいと思わせてくれてありがとう。彼らの、UVERworldの存在に心からの感謝を。明日、メジャーデビュー18周年おめでとうございます。
 
 
 

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