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【エッセイ】ミニエッセイ ~ある光景。老舗の商店街のファーストフード店~

2021年も残り少なくなってきました。

コロナ禍で迎える年末ですが、各地の商店街には年末年始の買物客の賑わいが少しずつ戻ってきているようですね。


そんな中、新型コロナウイルスが拡大する前のある老舗の商店街での光景を思い出しました。


・・・

那覇市内の老舗の商店街。

そこに
あるファーストフード店があります。

数十年も営業している建物は
外も中もそれなりに古いのですが(失礼)

老若男女の様々な客層のお客様で賑わっていました。


スタッフは店長(と思われる)40代の女性と
20代前半(に見える)学生風の男の子と女の子たち。


あるスタッフは
高齢のお客様が見えるとお会計の時
少し声を大きくして
代金を一円単位までゆっくり伝え
お客様がサイフの小銭をゆっくり出すのをじっと待ちます。

あるスタッフは数種類のドリンクメニューについて聞かれたらひとつひとつ説明します。

お店はセルフサービスですがオーダーをとりにきてくれると思って席に座っているお年寄りには
席まで行ってオーダーをとり、会計までそのテーブルで行います。

商店街で買い物した荷物を
「食べたらまた買い物するからお店にちょっと置いてて」
と言われたらお店で預かります。

お客様が店内で食べていたサンドイッチを半分残すと
持ち帰りますか?と先にスタッフから聞いてくれます。


「トイレだけかして〜」と言われたら食事をしなくてもかします。

何名かの小学生が
「水ちょうだい〜」と来たら
それぞれ一杯だけ飲ませてあげます。


とにかく
なんだかいつも人がいます。


これらのスタッフの行いはファーストフード店のサービスとして
あたりまえ?いきすぎ?店長にやらされているのでしょうか。
接客業としてその対応が全部正しいのかどうかもわかりません。
果たして人件費に見合っているのか。稼働率や利益はどうなんでしょう。

色々と疑問の声が聞こえてきそうです。


でも

「ありがとうね〜」
「またくるさあね〜」
「美味しかったよ〜」
と言って帰るお客様と言われたスタッフを見ていると

このお店からは食事だけではない何かが提供されているようです。

時間に追われて
社会のなかに忘れたものや
暮らしの中に置いてきたものが

見つかったような気持ちになるのです。


コロナ禍を経ると

やがて各業種・業界ともオンラインサービズやビジネスが主流になり、このファーストフード店にもいつかはオンラインオーダーになって便利で会話も少なくて済むというような日がくるかもしれません。

日本や世界はこれからどう変わるのでしょう。


日々進化するAIの発生する声は『人間のような声』になりつつあります。

先のようなファーストフード店で聞いた会話こそが進化する技術の『目指す未来』なのかもしれませんね。


と、書いていたらあのメニューのフレンチトーストが食べたくなったので笑、ソーシャルディスタンスを保つため以前ほどまだ賑わってはいませんが、このファーストフード店へ行ってきます☆


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