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朝ドラ批評家の『虎に翼』考  第20週 子役が光る朝ドラは本当に面白いですよねという話

こんにちは、朝ドラ批評家の半澤です。朝ドラ『虎に翼』第20週の感想を書こうと思うのだけど、もう20週!? いよいよドラマも終わりが見えてきて、切ないです。

2回もプロポーズした航一よ、まあ頑張ろうぜ、これからこれから!

ということでさっそく、振り返り。
昭和30年、新潟から東京に戻ることになった寅子(伊藤沙莉)優未(竹澤咲子・毎田暖乃)は東京の猪爪家に帰ります。そこでは花江(森田望智)と、結婚しても同居し続けたいと主張する直明(三山凌輝)が対立していました。そんな中、寅子は東京地裁の判事として「原爆裁判」を担当することになります。この裁判にはかつての同僚雲野(塚地雅我)と岩居(趙珉和)も関わっていました。その後、寅子は航一(岡田将生)を家に呼び航一の前で猪爪家の家族会議を開きます。

新潟編が終わり「ふたたびの東京編」がスタート。花江ちゃんら猪爪家の家族、よね(土居志央梨)らとの再会、さらには航一たちの家族との出会いもあり、ラストに向けたくさんのキャラが出てきていよいよ盛り上がってきた感!
それにしても、第20週がスゴいのが「花江と直明のケンカ」以外、何にも解決していないということ!それどころか、テーマがてんこ盛りすぎて笑うわ。

○航一と寅子の関係は? 
○新潟から引っ張り続けている美佐江(片岡凛)問題は?東大生として登場か。
以下がNEW!
○星家の不穏 
○「竹もと」のあんこ問題(見るたびに、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ!と唱えてしまう)
○原爆裁判という巨大なテーマ 
○轟(戸塚純貴)新恋人

議題山積。放送はあと1カ月と少し、もっといろいろ起こるでしょうし、これらをどういうふうに話をまとめるのかが見どころです。
前作『ブギウギ』は「今週はこの曲」みたいな感じ(その限りでなかったが)が、むしろわかりやすかったけれど、『トラつば』はテーマもさまざま&それが多層的に重なっているから、なかなか「今週はこの話」という切り方はできないよね。こんなに語るコンテンツあるのに、しっかりまとめてらっしゃるのがスゴいです。
それにしても星航一よ〜。2回もプロポーズしたのに、と切なくなりましたね。近く、寅子なりの回答が近く見られるのが楽しみです。

朝ドラ、一度出ておくとNHK的に推しやすくなるぞ

と、いろいろ書いて気づいたのですが、新キャラというか若手注目女優(子役含む)ズラリでないか。近年の傾向で、朝ドラちょい役→大きい役→果てはヒロイン※なんてこともけっこうあるしね。ということで今回は子役お二人について語りたいと思います。

※順不同、思いついた順
清原果耶さん『あさが来た』ふゆとナツの2役という衝撃デビュー→『なつぞら』引っ張って引っ張ってヒロインなつの妹と発覚→『おかえりモネ』ヒロインモネ
黒島結菜さん『マッサン』エリーの娘のエマの友達→『スカーレット』はちさんといい感じに→『ちむどんどん』ヒロイン暢子
この2例がもっともホップステップジャンプ感がありますが他にも!
有村架純さん『あまちゃん』若き日の春子→『ひよっこ』ヒロインみね子
高畑充希さん『ごちそうさん』焼き氷でブレイク→『とと姉ちゃん』ヒロイン常子
土屋太鳳さん『花子とアン』ヒロイン妹で北海道へ→『まれ』ヒロインまれ
杉咲花さん『とと姉ちゃん』ヒロイン妹で一緒に活躍→『おちょやん』ヒロイン千代
すげー、思いついただけでもこんな感じ!NHKに一度、出ておくことの大切さを感じます。(勝手に)

子役が光る朝ドラはいい朝ドラだ

まずは、上からの流れで『おちょやん』竹井千代の子役時代(後に春子役もやっていたので二役)を演じ「ちび千代ちゃん」として話題を呼んだ毎田暖乃さんについて。小学生高学年になった優未を演じています。小さいときからしっかりしていた優未だけど、ほとばしる「成長した」感、「出来る」女の子感。見事です。芯がある女性というのは寅子にも通じるところ。寅子の黄色いワンピースを着ていたことも話題になっていてほっこりしました。
『おちょやん』を見ていた方は今回のヒロイン娘役抜擢に、オッと思ったはず。4年ぶりですか、朝ドラ復帰!おじさん、うれしいよ。(もはや親戚の心境)
千代役は壮絶シーンが多かったですが、今回は安心して見られていいですね。ちなみに毎田さんは『おちゃやん』の直前の作品『スカーレット』の照子の娘役で出演していたから、実は今回が朝ドラ3作目。『おちょやん』から天才子役感はあったけど忘れられないのは2022年『妻、小学生になる。』(TBS系)でしょう。石田ゆり子さんが小学生に憑依、堤真一さんの妻が小学生になる(わータイトル通り!)というトンデモ設定を完璧に演じきり、世を驚かせました。今演じる優未ちゃんは毎田さんと同じくらいの年齢ですし、また石田ゆり子時代と違っていいですね。ドラマ後半も重要なシーンを任されそうです。調べていて、え、平成23年生まれ?と驚きました!演技力やばいな。これから絶対にさまざまな作品で存在感を示してくれることでしょう。

そしてそして、今回、優未を演じていたもう一人の子役が竹澤咲子さん。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』にも出演していたということでも話題になりました。母親である寅子となじめない優未→少しずつ打ち解けていく優未→寅子と対峙しながらも女の子として成長していく優未を丁寧に演じていましたね。ただのかわいい娘に終わらず、寅子に気を遣わせる&寅子に気を遣う、という微妙な距離感や感情の流れ新潟編でよりはっきりして、優未の存在感が日に日に増していくのが面白かったです。
それにしても満9歳(公式HPより)で、朝ドラと大河同時出演ってすげーな。夢が詰まっている。

いやあ、子役が光る演出、脚本の朝ドラは本当に良いなと今更ながら感じます。ここまで見てきたように役者の力も大きいですが、脚本・演出の方が「ヒロインの子ども役」じゃなくて、ちゃんと「優未役」として描こうとしていることが大きいと思います。朝ドラはロングスパンなので中弛みや後半失速が揶揄されますが、今作でそれを全く感じないのは優未ちゃんが見事にドラマを作りあげているからだなあ。竹澤さんから毎田さんにバトンタッチしたタイミングだったこともあり、改めてそんなことを思った次第です。




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