【娑婆へ】
2月9日この病院に来て3回目の散髪。
相変わらずのクリクリ頭。
3回目になると名前も顔も覚えてもらえていた。
常連に近いものが芽生えてくる。
しかし、病院で常連にはなりたくない。裏腹だ。
そんなことを考えているうちにマルコメになった。
床屋の婆さんが2,000円ねと言った。
あれ?情報では1月から値上がりして2,500円になったはず。
「値上がりしたんじゃないの?」と聞くと3回もカットしてくれたから良いよと言われた。
「今月退院するんだ。3回もカットしてくれてありがとう。」
と言って別れた。
2月14日、URの部屋に介護用ベッドとかーるくんが搬入された。
これでとりあえず退院しても大丈夫になった。
師長さんに風呂に入れてもらった時に、「病院を退院する時にアンケート書いてってね。」と頼まれた。
書くことができないので、スマホでGooglドキュメントにありのまま思ったことを書いた。
これまでここに綴ってきたことなんだけど。
手先が不自由なので苦労したが、リハビリと思ってポチポチした。
メールで相談員さんに送った。
それを印刷してアンケートに貼り付けたと言っていた。
少しでも病院のお偉いさんの目に留まって、改善してくれれば本望だ。
ナースのきたさんが僕の所に来て、なんの委員会だか忘れたけど、そこでアンケートを見て涙が出た。「ありがとね。」とも言われたがそんな泣かせる文は書いてないのになと思いながら「改善されると良いね。」と僕は言った。
2月22日10時、荷物を整理し病棟を後にした。
前日には4階病棟の聖さんとうださんが顔を出してくれ、退院日には師長さんらに見送られ退院した。
結局、おむつを付けたままの退院だった。
やはり退院は、あっけない。
病院には、家族とイケメン君それにヌケ作が来てくれた。
外はあいにくの天気。
小雨が降っていた。外は寒い。いつしか雨男になってしまったようだ。
まだ水の神様に許されていないのか?と思いながら介護タクシーで見知らぬ住所に向かう。
そんなタクシーの中で事件は起こった。
タクシーが路面の凹凸に減速せずに突っ込んで、僕は跳ね上がり車椅子から落ちそうになり運転手に止まるように叫んだ。
この運ちゃん、路面も見れないし後ろも見ない。
あんた辞めたほうがいいよ。
この仕事向いてないよ。と言いたかった。
そんな中、見知らぬ住宅の前でおろされた。
ここが我が家なのか?
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