誕生日月不調説 ①

 という題を付けてみたが、必ずしも誕生日月に限らないという話もある。先ず当て嵌まったのが自分で、その後に気付いたのが我が父だ。友人・知人の中では誕生日月に限らず、「毎年この時期、何かと事件が起こりがち…」というのはあるようだ。人に因って周期があり、私や父に関しては、たまたま誕生日月にぶち当たるのだろう。
 因みに我が妹は、梅雨の辺りに毎年胃腸を悪くする。食中毒に中ったり、胃腸炎を起こしたりするのだが、それが果たして個人の周期に因るものなのか、季節的に注意が必要だという理由なのかはハッキリしない。先日は貧血で倒れて救急車で運ばれたと言っていたので、周期と季節柄、双方の理由とも言えなくないのかも知れないが…。
 
 私は三月生まれである。
 昔からこの時期は苦手だった。別れの季節で、年度替わりを前に、様々な変化が起こる。進級・進学に心浮かれた記憶が無いばかりか、クラス替えも苦手だった。転職は元より、長く非正規雇用の身であったせいで、契約更新の有無にさえビクビクするのがこの時期。職を失うことが決まった途端、いつもバイクで走っている大通りで、スピード違反で捕まる…なんてことが二度もあった。無職になるのに痛い出費である。悪いのは自分なので、警察に対してキレたりはしないが、自己嫌悪と運の無さに情けなくなる。切符を切られている横で、無防備な原付バイクが物凄い勢いで走り去ったりするのだから、違反で捕まるなんてことが正義による制裁だとは、必ずしも信じられなかったりするのだ。
 また、三月は花粉の時期でもある。
 色鮮やかに花開き、蝶が飛び回るこの季節、私は外に出ることを喜べない。眠れないほどの、くしゃみ・鼻水・目の痒み…そして果てしなく続く倦怠感。これが程度や症状を変革させながら、梅雨明け頃まで続く。
 しかし今年は梅雨が明ける前にマスクを外すことが出来た。喉の異変で医者に行ったついでに、マシになるどころか酷くなる一方の花粉症状を訴えて、普段飲んでいる薬とは別のものを処方してもらったせいか、仕事もせずに自分で自分が心配になるほど明るく前向きに遊び呆けて好き放題暮らしていた為にストレスが無かったせいなのか…。例年マスクを外すのは、それを付けているのが暑くて耐えられなくなった頃…つまり、七・八月の夏突入との引き換えなのである。
 暑さに体力を奪われながらも、開放的に過ごす夏を越せば、体は随分楽になる。秋から冬にかけて、体は軽くなるが、真冬に突入すると、今度は寒さで体は固くなる。体力はあるのに、寒すぎて動けず、何も出来なくなるのだ。正に冬眠である。そして身体が徐々に柔らかくなるのと引き換えに、再び不調の春へと移行するのである。

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