ウラジオ日記を終えて

ウラジオ日記はほとんど書き終わった。旅行中に撮った写真を今現像していて、それが出来上がったらまた何か書くかもしれない。

ウラジオストクには8日間行っていた。行きと帰りの便で安いものを探していたらたまたまそうなったのだが、インターネットで発行するビザは8日間が限度なので、ギリギリだった。何も考えていなかった。何となく大丈夫な気がしていて、大丈夫だったというだけだ。

8日間の旅行で何したわけでもない。観光地らしい観光地にも殆ど訪れなかった。あまり興味がないからだ。生活の中にいる方が面白い。上海に行ったときそれを強く感じた。観光地はどれもつまらなく、何もない町を散歩する方が面白かった。

だからほとんど何もしていない。劇的な出来事もほとんどない。何も起こらずに過ぎていく日々。それが海の外であるということだけが、それらの退屈を光らせる。だから日本に帰ってきて、思い起こしても特にエピソードもない。土産話のひとつやふたつ、それで終わり。だと思っていたが、文章にして書いてみれば、意外と書けるものだ。ここまで続けられるとは思わなかった。

あまり日本を旅行したことはない。たまの休みくらい日本から出たいと思う性質だ。それに日本を旅行するより、海外に行った方が安い時代である。ぼくが海外に旅行する理由は、特別見たい観光地があるとか、風土に興味があるとかではなく、ただ日本を出たいとか、飛行機に乗りたいとか、異国語を聞いていたいとかそのくらいの理由だ。だから行く場所はどこでもいいのだ。高いところに行く必要もない。安いところで探していると、自ずと中華圏ばかりになる。たまには違う風なところへと行きたいと思い、ウラジオストクを選んだ。意外と安く行けたから。それだけの理由。もちろん、ロシアには興味があったのだけれど、一番の理由は海の外にいたいということだけ。

今はどうかと言うと、行きたい国がある。ジョージアだ。ジョージアと言われてピンと来る人も少ないと思うが、トルコとロシアの間にある国だ。ウラジオ日記にも書いたのだが、そこの料理がとてもおいしい。ロシアではグルジアと呼ばれていて、日本でもその呼び名の方がもしかしたら馴染みがあるのかもしれない。気になって調べていたら、グルジアはロシア語の発音だからジョージアという呼び名で呼んでほしいらしい。なのでジョージアと呼ぶことにする。その料理が今まで食べたことのない味で感動したし、調べてみると「日本人の99%が訪れない国」とか書いてあるから、余計に行きたくなる。ただ、直行便もないその国に行くにはお金がかかる。とは言っても行けない値段ではないが、そこまで行ったらトルコも行きたいし、アゼルバイジャンも行きたいし、ウクライナも行きたいし、バルト三国も行きたいし、じゃあヨーロッパも行きたいし、ってなると中々気軽には行けない。でも必ず訪れようと思う。

気軽に行けないとは書いたけれど、旅行なんて気軽なものだ。海外なんて海の外というだけで何も変わらない。同じ人間が生活している場所を訪ねるというだけだ。どうにでもなるから、大体ぼくは手ぶらで行くのだ。財布とパスポートとチケットだけ持って離陸する。身軽になって空を飛ぶ。あの瞬間の軽さこそが何よりも魅力的なのかもしれない。

毎日noteを書こうと思い立ってから二ヶ月が経った。ウラジオストクの話でかなりつなげたけど、これから何を書こうか戸惑っている。エッセイ、詩、小説、日記。書きたいことは結構あるのだけれど、どう書いたら読まれるのかはわからない。折角旅行記を書いてきたから、熊野古道に行った話でも載せようかと、「道程」という旅行記を書き始めた。

ウラジオストクに旅行に行ったのは四日の連休があったからだが、そう言えば去年も同じように四日の連休があった。そのとき、ぼくは熊野古道に行ったのだ。

百聞は一見に如かずなんて死語で、ネットに溢れた情報の方が、実際よりも魅力的だったりする。だから行きたい観光地なんてほとんどない。それでも行ってみたいと思う場所はいくつかあって、そのうちのひとつが熊野古道だったのだ。

熊野古道は普段の生活から切り離されていて、それは海の外に行く以上に異国を彷徨うような体験だった。
空へと飛び立つ軽さとは真逆に、重く険しい道で彼は何を思うのか。ご期待ください。(テンプレ)


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