仁川国際空港で生活しているルレンドさん夫妻に会った

ウラジオストクに行ってきた。その話の前に、先にしておくべき話がある。

ウラジオストクには韓国経由で行くといくらか安く行ける。韓国でのトランジット。仁川国際空港。そこには難民申請中のルレンドさん一家が住んでいる。韓国に入国できず、帰国すると身の危険がある。パスポートも取り上げられ、彼らはそこに住まざるを得なくなっているのだ。

映画「ターミナル」を思い出す。「クラコウジア」と言う声が耳によみがえる。あれは地味な映画だった気がするが、その割に結構みんな見ていて面白い。私は子どものころ地元の市民ホールで見た。親子連れで席はいっぱいに埋まっていた。いい映画だったと思う。でも同じように映画を見に来ていた女の子と少し喋ったことくらいしか覚えていない。気になってた子だったからだ。

行きと帰りにルレンドさん夫妻に会った。時間が遅かった為、子どもたちは寝ていた。

この記事を読んだことがあったので、シアバターを持っていった。果物や野菜は持ち込めそうになかったので。肌のケアには詳しくない。だからシアバターが何なのかもよくわかっていなかったけど、韓国ならいいものがありそうだなと思った。

無事購入すると、夫人のボベトさんに渡す。とても疲れた顔をしている。それから「一週間後にまた来ますが何か他に必要なものはありますか?」と聞くと、「食べ物が必要です。」と答えた。

上の記事は六月の記事だ。八月の記事にはより詳細なリストが載っている。

それを見るとシアバターはいらなかったかしら?ミルクローションの方がよかった?と気になる。それとも今は服やケア用品よりも、とにかく食べ物が必要ということか。日々刻々と必要なものは変化しているだろう。帰りの便では食べ物を持っていって、それからまた必要なものを聞こうと思った。今の情報をネットに載せるべきだと思ったのだ。

握手をしてから、ロシア行きの飛行機に乗った。大きな手は冷たかった。

そして帰り。今度は食パンとハチミツ、それからチョコレートを持っていった。ハチミツはロシアの名産だ。そして聞いてみると

子どもたちの為にお金が必要です。

と言う。ウォン通貨が必要だと。

他に必要なものはありますか?と聞いてみたが、今はウォン通貨が必要ということらしい。

日々刻々と状況は変化している。

もし韓国に行く機会があるなら、ターミナル1に彼らはいるので訪ねてみるといい。少しでも人と触れ合うというのは、何よりも必要なことに思われる。余ったウォンは両替せずに寄付してあげるといい。

それから彼らの母国語はフランス語だ。私は英語でコミュニケーションをとったが、母国語のフランス語で喋れたならきっと心が安らぐと思う。フランス語が喋れる人は話してあげてほしい。
大学の時の第二外国語はフランス語だったけど、もうほとんど忘れてしまった。ちょっと勉強してから行けばよかったと思う。

ロシアからの帰り、荷物が受託できずにワインをなくなく見捨てたことを後悔していた。自分のつめの甘さにかなしくなり、落ち込んでいた。
それからルレンドさんに会った。帰りにまた握手をした。心が安らいだ。

ほんとうは心を痛めないといけないのかもしれない。でもその握手やコミュニケーションに私の心は安らいだのだ。
だから私はこう思う。

彼らのことを気にかけてみるといいと。誰かを想う好意は、相手以上に自分を助けたりする。だから気にかけるといい。自分のために。自分のためでかまわないのだ、きっと。

きっと。

帰国してニュースを見ると、僕の旅行中にようやく難民審査が受けられる状況になったらしい。うれしいニュースだ。まだよろこべる段階ではないけれど。

日々刻々と状況は変化している。
もし会う機会があったなら、状況をちょっとでもネットにあげるといいと思う。そんな時にSNSはとても便利だろう。

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