この日々のことを覚えておくための日記2

2020/4/19 

これ見て感動した。ウィスットポンニミットの漫画は前から好きで、今回もやっぱり好きだったのだけれど、内容よりも感動したのが、漫画のスピードだ。音楽が流れる中漫画のページがめくられる間隔はとてもゆっくりとしている。その間にまたそのページを見返す。それでもページはめくられない。音に耳を澄ませながらゆっくりとゆっくりと漫画を読んでいく。やっとめくられたページもまたゆっくりと読んでいく。それでもまだ早すぎるみたいで、もう一度読み返す。そうしている内にだんだんとスピードを掴んでくる。今までの私は自分で漫画の世界のスピードを決定してしまっていたけれど、そこに流れている時間は今いるこことはまるで違う。漫画の世界に流れるスピードに自分を合わせるという体験をしたときに、漫画という世界の豊かさと確かさと、自分のスピードでそれを支配してきた自分の愚かさ、自分が生きる世界を信じていることへの驚きを知ったのだ。

2020/4/20 毎日何時間寝ているのかわからない。もともと寝入りの深い性質だし、そもそも一日10時間寝ないとどこかに不調が出るのだが、時間感覚がなくなったのと、仕事の休みが続いている所為で、睡眠がとどまるところを知らない。眠いときに寝るというのは精神疾患の発症を抑えるというような話を聞いたことがあるので、多分体の防衛本能なのだろう。

2020/4/21 深夜1時43分、カラスが外で鳴いている。こんな夜中にカラスの鳴く声を聞くのははじめてかもしれない。

2020/4/22 セミが鳴いている。春に鳴くセミっていたんだっけか。ひじと膝を擦りむいた。

2020/4/23 ふと思い立って坊主にした。人生で初めて髪型を変えた。

2020/4/24 aikoがtwitterにあげた「ホワイトピーチ」が本当に素晴らしくって、何度も聞いている。

不安定な夜は夢の続きさ

2020/4/25 鮮烈なヴィジョンを表現するにはそれをただ示せばいい。日常を表現するには膨大な情報量が必要だ。たった一つのそれを指し示すのではなく、漠然と拡がるそれらをいくつもいくつも描かなければ日常をかたどることはできない。

2020/4/26 劇場版名探偵コナンで一番好きな、「天国へのカウントダウン」が無料配信されていたから見た。(家にもDVDはあるのだけれど。)ホントに名作。涙が出る。すべてのキャラクターが生きて悩んで考え行動しているし、ちょっとしたなごやかな会話ひとつとっても無駄なものがなく、それらのシーンすべてがクライマックスに向かってひとつの線に結ばれるこの脚本の緻密さ。犯人の評判はネットで見ると悪いらしいのだけれど、ぼくはこの犯人が大好きでそこに一貫した美学があるのがいい。新一と蘭の恋模様。この映画では新一(コナン)が蘭を助けるのではなく、蘭がコナン(新一)を助けるというところも最高だし、コナン、灰原含む少年探偵団がみんなかっこいい。灰原が少しずつ心をひらいていく機微も見てとれる。この映画は犯人含め主要登場人物がそれぞれの美学を貫いていて、それがストーリーとして結実していることに何よりの美学を感じる。恋愛、アクション、人間ドラマ、すべてが詰まったスーパースペクタクルなエンタメの最高峰!(もう配信終わっちゃったけどこれからも劇場版の配信は続くから要チェケラ!日付変わって27日、今日からは「ベイカー街の亡霊」!これまたとんでもなく名作!gyaoとかで見れるよ!)

2020/4/27 「天国はまだ遠い」久しぶりに観たけど、やっぱり傑作だ。(二日連続、「天国」二本立て。)

雨はどうせ私にはかからない。雨のにおいもしない。でも雨音は聞こえる。雨粒は見える。

天国はまだ遠い地縛霊が言う。ここではたと気づく。映画は音と映像の世界という認識だったけれど、そうではなく匂いと温度が欠落した世界という視点に。幽霊の世界の見え方は映画に似ているのかもしれない。

28日、明日まで無料で見れるので見て欲しい。ギリギリだけど。いつもこうやって行動が遅く、後手後手に回って、ギリギリになってしまう。逆に期限があったから見たとも言えるが。これは日記でただの記録だから、日付の際が見える方が「らしい」かもしれない。

昨日ドライブをした。交通量の少ない高速道路。電光掲示板には「神奈川県に今は来ないで」と光っている。はじめての海釣り。岸辺は美しく、波の荒さと風の強さ、水底で複雑に絡み合っている水流を想像して、肌に自然のこわさを感じる。木々は生き生きとしていて、林道から覗き込むと斜面の底が葉や蔦に覆われている。あの底に落っこちれば、腐海の底のきれいな世界が覗くのではないかと想像する。今、ナウシカを読むとまた印象が変わるのかなと読みたくなる。

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