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小説

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#児童小説

檸檬

「つまんないね」
私の仕事は商品の陳列を微妙にずらすことである。丁寧に並べられ積み上げられた商品を少しずつずらし、崩壊する寸前のところで手を止める。そして平然と立ち去る。私が店を出る頃に、誰かの体が触れてそれは崩れてしまう。
店員は不快な顔を隠してそれを並べ直す。崩した客は不運そうな顔をして居るだろう。「私の所為ではない、その運命と均衡が悪いのだ。」という風な面構えをしていやがる。そこに流れる瞬間

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かみさまのかわりに歌を歌った

「恐竜見たくない?」
友だちがぼくに言った。
「え?」
ぼくが聞きかえすと
「ティラノサウルス」
と答える。
ぼくはこないだ見た映画のことを思い出して
「あれは?」
と言った。
「なに?」
「フタバスズキリュウ」
「なんだっけそれ?」
「ドラえもんの」
「あれか!でもやっぱティラノサウルスじゃない?」
「そうだね。」
「どこで見れるんだろう」
「とりあえず外じゃね?」

パンツをはき替えて、こない

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