マガジンのカバー画像

何度でも読み返したいnote4

94
何度でも読み返したいnoteの備忘録です。 こちらの4も記事が100本集まったので、5を作りました。
運営しているクリエイター

#思い出

「あなた、誰ですか?」同僚が言った、あの日のこと。

そんなことを、痛いくらい・・いや、激痛のように感じたことがある。 新卒で採用された物流企業で、引越部門に配属され、3年目の半ばあたり。仕事にも慣れてきて、ちょっと難ありの上司の面倒を見て、すでに2年も繁忙期(3月から4月、新生活が始まる時期)を経験し、もうお腹いっぱいのころ、事件が起こった。 新築住宅での引越の作業中に、ひとりの作業員が2階のベランダから転落したのだ。引越はビルの窓拭きのような高所作業でもないし、危険作業でもないとされている、一般的な運搬作業である。 し

単純で複雑な僕は、その便りで春を乗り越える

「一週間で4人も日本一周している若者に出会ったわ。その姿が私の中にいるあなた達を思い出させたの」 何の前触れもなく、写真と一緒に届いたその便りは忙しい事を言い訳に、再び心を閉じようとしている僕への手紙に感じた。 「一週間に4人も出会う人なんて、君だけだと思う。それがまた彼等にとって良い出会いであることを願うよ」 僕は、精一杯の冗談と一緒に、本当に良い出会いであったらいいなと願った。 彼女が僕達を思い出したように、僕も自分達を思い出させる一言だった。僕達が日本縦断をした

アレですから、ごゆっくり。

三月最初の週末、両親に会いに行った。 少し春めいてきた休日の電車の旅は、車窓も車内もおだやかでのんびりしている。 今回のビールのお供は、とろたく巻き。うまい。大正解。 この至福の時間だけでも、出かけてよかったと思う。 家に入ると、雛人形が飾ってあった。 元々は豪華絢爛七段飾りだったが、両親が地方移住する際にお内裏様とお雛様だけとなった。 私の初節句のために祖父母が用意してくれたもので、人形の街として有名な埼玉の岩槻まで買いに行ってくれたそうだ。生まれたばかりの私に注がれた

タイタニックだけが、帰ってきた。

「タイタニック再上映!」 そのニュースは、私の感情を大きく揺さぶった。 一緒に観た人のこと、待ち合わせた場所、街の賑わい、着ていたワンピースの柄。 25年前の思い出があふれるように押し寄せてくる。 あの頃の自分が、私は、今もとても好きだ。 映画「タイタニック」が、公開25周年を記念してリバイバル上映されている。 大ヒットした当時は私も見事にはまり、四回も観に行った。 一回目は、学校帰りに友人と。 恋愛経験なんてほとんどない私たちは、これでもかとドラマチックに描かれるラブ