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何度でも読み返したいnote5

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。更新は終了しました(2024.6.10)。
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#読書感想文

わたしは地下鉄です

物心ついたときから、家のある街にはいつも地下鉄が走っていた。 引っ越しも何回かしているし、べつに地下鉄にこだわって住む場所を選んだおぼえもない。 なのに、気づけばずっと生活のかたわらには地下鉄がある。 * 地下鉄を利用しているひとはきっとみなそうだと思うのだが、僕もまた隣町の風景をよく知らない。そもそも見えないのだ。どうしようもない。 ある日思い立って途中下車でもしないかぎり、隣町は永遠に「〇〇駅」という無味乾燥の記号でしかない。 親しさはかならずしも近しさと比例

「もう遅い」なんてことは絶対にないから、私はあなたの感想が読みたいです!というはなし

初めての書籍の発売から1ヶ月と少しがたった。 発売前も後も、 嬉しいことがたくさんあった。 応援してくれている人たちにお祝いをしてもらって、新しく本で出会ってくださった人もいて、重版が決まって、手をかけた本をみなさんに可愛がってもらえているようで、とても嬉しい。 でも、嬉しいことばかり、 というわけにはいかない。 やっぱり知らない世界に出ていくということは、 きついなと思うこともある。 2作目の壁という言葉がチラついて、 次書けるのかな、と不安になる日もある。 そん

拝啓 佐野洋子サマ。私だって『死ぬ気まんまん』!

もう長生きしたいと思うのをやめた。 死ぬのはイヤだけど、ワケもなく長生きなんかしてどうする。 そんなことを思うと元気が出てきた。 どうしよう……長生きしそうだ。 いま、佐野洋子のエッセイ『死ぬ気まんまん』が浸みている。 あの絵本作家にしてエッセイストの佐野洋子、『100万回生きたねこ』の佐野洋子である。 私は密かに洋子サマと呼び、親近感100%の友人みたく思い馳せてる女流作家だ。72才(2010年)で亡くなられたけど、本を開けば元気な笑顔がよみがえる。 文句を垂れても情が