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遺族への気づかい「返信不要です」

とても辛い状況の時に、友人から自分を気遣ってくれる手紙やメールをもらっても、かえって気疲れしてしまった経験はないですか。
私自身、信頼できる友人に家族が他界したことを知らせた後、メールをもらうたびに、どっと疲れてしまったことがあります。

返信しなきゃ。今は精神的にちょっと難しい。でも返事しないと悪いし。
元気じゃないけど大丈夫なフリしようか。なんて書こう・・・。

手紙やメールを送る側は、大切な人を亡くした方に連絡をするとき、返信しなくていいことを伝えると、読んだ相手は気持ちが楽かもしれません。


10年以上前のことですが、「子どもを亡くした家族への支援」についての研修に参加しました。当時、私が看護師として勤めていた病棟はあまりお看取りが多くないところでしたが、その頃からグリーフケアには関心がありました。

その研修では、医療従事者向けの講義だけではなく、病気で子どもを亡くしたお母さんもいらっしゃっていて講演がありました。その中で、とても印象に残っていることがあります。

あるお母さんは、子どもを亡くした後に誰かから連絡をもらうと、返事をしなきゃと焦ってしまう。でも、手紙やメールに「返信不要」と書き添えてあると、少し楽に感じられたそうです。


私には思いつかなかった。そういう気遣い。

誰かからの連絡自体は嬉しいかもしれない。
でも、自分が送った短いメールが、親切のつもりでも相手の負担になるかもしれない。いまその相手は、人とコミュニケーションをとれる精神状態ではないかもしれないし、大変な中で気丈に振る舞い、感情が追いつかないまま様々な手続きに追われているかもしれない。自分が送ったメールが、ありがた迷惑の可能性だってある。

自分の気持ちを伝えることや、ひとりじゃないよと伝えることが目的なら、相手からの返事はすぐに必要ではないし、求めていないですよね。
きっと、あえて言葉にしないと伝わらない。
「返信不要」とたった一言添えるだけで、遺族の心の負担を少し軽くできる可能性があります。

私は家族のことで大変な状況の時に、友人からのメールに無理して返信していて、心が疲弊したことがあります。返信できなくて考えている間も、毎日そのことを考えてストレスを感じました。
もし誰かが一言、「返信不要です」と書いてくれていたら、私の気持ちはずっと軽かったはず。

連絡をくれた友人たちは、ただ親切に声をかけてくれているだけで、私の返信なんて求めていないかもしれない。でも、言われなきゃわからない。
私のいまの心情を察してほしいと思っても相手に伝わらないように、言葉にしないとわからない。


タイミングにもよりますが、相手を思いやるなら、あえて返信が要らないことを書くと、親切かもしれません。
身内の不幸や震災などで大変な経験をされている方に連絡をするときは、私もこの一言を使おうと思います。

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