大人になったと感じる瞬間って話

 こんにちは。私漫画が好きなんですけど、と言っても週刊少年ジャンプ以外はほぼ知らないですが、それで毎月新刊を買うじゃないですか、お気に入りの作品は。毎月、少しずつ、本棚が埋まっていくんです。眺めているだけで楽しい。本棚をつまみに酒が飲める。

 はのとです。初めまして。


 この間、地元の幼馴染と久しぶりに会いました。酒を飲みながら色んな話をしましたが、基本的には懐古ばかりしていて。この曲もう何年前なんだ、とか、あのアーティストいつのまに三十超えてたの、とか、時の流れをすごく感じた日。

 それでね、私たち年取ったんだねって。周りで時が流れているってことは、自分たちも例外ではなくて、自分たちにも平等に時は流れているという真理に気が付いたんです。それはもう大発見で。だって、気持ちはまだまだ高校二年生のまま、気づいたら数日前から大学四年生なんですもん。


 その日眠る前にね、私ずっと考えてたの。酒で心臓のBPM160くらいになってて眠れなかったからさ。くだらないことを。それが、大人になったと感じる瞬間。

 二十歳になって、今はもう二十一歳で、そのうち二十二歳になって、まばたきしている間に三十になるでしょうね。二十代になった私、いつ、大人になったんだろうか。結論から言えば、大人にはなれていないですね。どう考えても、身も心もまだ幼くて、到底大人とは言えない。でも、そうやってもがきながら、いつの間にか大人になれるんだと思います。

 なんてことはどうでもよくて。


 大人になったと感じる瞬間その一。起承転結の薄い、ほのぼのとした物語を求めていると気付いた瞬間。

 特に中学生のときなんかは、例えば進撃の巨人とか、例えば東京喰種とか、展開が激しくて伏線がいっぱいあって激しい戦いや過激なシーンがあったりする、とにかく激しい感じのが好きでした。刺激的で、興奮しながら読んでいたのを覚えています。

 でも今はね、この一年間で読んで好きだなと思ったのは鬼灯の冷徹。ほのぼのとはまた違うけど、こう、特に何も起こらないけど面白い、みたいな感じ。

 まあ私は本当は永遠にバトルが好きなんですけど、それも上記の激しくてずっと戦ってるみたいなやつよりは、日常の中にバトル、みたいなのを好むようになりましたね。疲れちゃうんです、ずっと気張ってる話。最近好きなのはSAKAMOTO DAYS、SPY×FAMILY、夜桜さんちの大作戦、とかです。SPY×FAMILYはもうすぐアニメやるので見てね。アーニャが無限に可愛い。


 大人になったと感じる瞬間その二。十代の子たちが一生懸命頑張っている姿を見て涙した瞬間。

 なんて抽象的に言ってますけど、ようは甲子園です。甲子園ですぐ泣く。自分よりも若い高校球児が、一夏、この間は春の選抜でしたが、その一瞬のために一生懸命戦っている姿が、もう、何というか、眩しい。直視できないくらい眩しい。日々怠惰な自分が嫌になります。私も勉強頑張ろうって、年下の子たちに触発されちゃいます。


 大人になったと感じる瞬間その三。ジャンプを読みながら、感動的な展開より仲間たちが助け合う姿に涙した瞬間。

 これは本当につい最近なんですけど、戦いが終わって一息吐いて、次の戦いへ、みたいな場面転換のときだったんですけど、アヤシモンって漫画で、あ、地獄楽っていう漫画と同じ作者の方の作品なんですけど、主人公の男の子が姐さんに、こう、頑張るぜ、みたいな声を掛けるんですね。そこに感動した。泣いた。ちゃんと泣いた。びっくりした。


 大人になったと感じる瞬間その四。純粋な少女漫画的展開が、なんとなくしんどいと感じた瞬間。

 これはシンプルに小さい頃に少女漫画を通らなかった弊害かもしれないですね。王道な展開が見ていられない。なんかこう、恥ずかしいとか、そういうのともまた違うけど、なんか、しんどさを感じてしまう。

 中学生のときにね、二作品だけ少女漫画を読んだことがあります。ストロボエッジと、神様はじめました。どっちも、心臓がキュッとするあのトキメキを得ながら楽しく読んでいました。だから、少女漫画を楽しめる時期はあったんです。でも、すぐ終わっちゃった。悲しい。


 大人になったと感じる瞬間その五。美術品の画像を見て実際に見てみたいと美術館を調べた瞬間。

 資料とかテレビとかで、最近美術作品とかを見る機会が多くてね。昔はそんなんつまんなくてどうしようもなかったんですけど、この間それが気になっちゃって、実際に見てみたいって思ったんです。そんな自分に心底驚きました。

 画像と生ってやっぱり違うのかな。迫力?感激?静かな美術館で、そういうのをゆっくりと見てみたいです。


 大人になったと感じる瞬間その六。大トロサーモンがしめに食べられなくなった瞬間。

 これは本当によく覚えています。十九歳の冬です。私大トロサーモンが大好きで、回転寿司に行くと必ず、最初と最後に大トロサーモンを食べることがルーティーンだったんです。だけど、そう、十九歳の冬。当時の恋人とお寿司をテイクアウトして家で食べていたときにね、最後の大トロサーモンがね、なんと、見るだけで気持ち悪いというくらいに食べたくなくなってしまったんです。

 なんか、大人になると焼肉がきついとか、揚げ物がきついとか、そういうのよく言うじゃないですか。それを感じた気分でした。めちゃくちゃショックでした。たまたまかと思ったけど、その後も同じ現象が何度となく起こったんです。そんなトライすんなって感じですけど、もう本当に悔しくて。


 色々書いてみましたが、情緒的な問題が多いですね。圧倒的に。感じ方の変化って、なんかこう、抗えない何かがある気がする。昔はこんなんじゃ泣かなかったのに、とか、昔はこういうの好んで見てたのに、みたいな、その、好みの変化?

 まだ二十一です。世間的には圧倒的若さ。若造が何を言ってんだと、そんな声が聞こえてきますが、本当にそれはごめんなさい。若い子がこういうこと言ってると、腹立ちますよね。分かります。私も、高校生とかが「うちらもうばばあ」とか言ってると腹立ちます。

 だからこう、あえて大人になったと感じた瞬間、って言い方にしてみました。美術館に言ってみたいとか、めちゃくちゃ大人じゃないですか?我ながら、感性の成長じゃないですか?


 それでも私はまだ二十一歳です。これから、自分の好みがどう変化していくのかは結構楽しみです。今でさえ変化の日々なんだから、もっともっと、これから色んなものを好きになっていくんだと思います。逆はあんまり怒らないでほしいけどね。


 そういえば、健康診断で身長が1cm伸びました。背が伸びるってことは、やっぱり私はまだ子ども。

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