通いなれた大学が私の知らない…な話

 こんにちは。今日はいつもと書き方を変えて、柔らかく、それはまるでアイドルのブログのように優しい感じでいきまぁす。


 ちょうどさっき、家に帰ってきました。一年ぶりに大学へ行ったのです。どうしてか、まだ新学期も始まっていないのに。

 健康診断です。

 言っておきますが、私は昔から風邪は引かないのにそれ以外の病等には弱いんです。健康診断の一つや二つ受けておかないと、その内頭にとんでもないものが見つかってしまうので、やむを得ません。長きに渡るおうちじかんで培われた引きこもりの皮を脱ぎ捨て、片道二時間の旅に出ることを決意しました。

 散々駄々をこねたので、母も見かけて必殺技『甘やかし』を発動させてきましたが、そんなものには負けません。ある程度駄々をこねることで、自分を説得しているのですから。その駄々こそが、私の一歩を後押しする、私自身の必殺技なのです。

 13時からの健康診断に向かうため、10:30というちょっとかなり早めの昼食をとり、11:00に家を出ました。7:30の朝ごはんたちがまだ胃で得意の駄々をこねているというのに、総菜コーナーに並んでいたヒレカツたちが、その駄々を押しのけようと、私の胃の中は大変な戦いが繰り広げられていました。

 なんてつまらないことを考えながら、その手には今ハマっている漫画を握りしめ、電車に乗り込みました。三回の乗り換えを忘れないように、チラチラを各駅を確認。というか、最後に電車に乗ったのも、あれはいつのことだったでしょうか。

 いい話に涙をにじませていると、いつの間にか二つ目の乗り換えの駅。慌てて降りましたが、筋トレによる筋肉痛で歩くこともままならない私は、それはもうのっさりと、階段を上るのです。エスカレーターに頼らなかった私を褒めてください。まあ、なかっただけなんですけど。

 そして三つ目の電車に乗り、続きを読む。引っ込んだ涙をもう一度呼び起こし、半ば無理矢理泣きました。消化不良だったので。

 三つ目の乗り換えを終え、最後の駅へ向かいます。迷わずエスカレーターへ。乗り慣れたそのエレベーターは、私を温かく迎え入れてくれているようでした。ですがそれも、私を油断させるための罠だったのです。それに気が付くまでに、そう時間はかかりませんでした。

 なんとですね、その最後の駅にですね、ホームドアがついていたんです。信じられますか?ホームドアです。そんな都会みたいなやつが、堂々と立ってやがりました。驚いて、田舎者みたいに写真を撮ってしまいました。

 ですが、それだけでは終わりません。「こんな駅にホームドアか…」と感傷に浸っていた私の頭に、今度は「あれ、でも前からあったような気もするな…」という声が降ってきたのです。もう訳が分からなくなりました。文明の発達に驚いたと思ったら、そんなものは既にあったと言うのです。いや、私がね。

 それを確かめるすべは最早どこにもありません。ならいっそ、こんなことに感動して誰かの前で恥をかくのなら、こんな記憶消してしまおうと。という訳で、ここで読んだことは誰にも言わないでくださいね。約束ですよ。!

 はい、遂に大学の最寄り駅についたんですが、その場所はもう、私の知っている場所ではありませんでした。だって、見通しのいい公園の真ん中に、得体の知れないプレハブが建設されていたのです。公園の真ん中を突っ切るのが正しい登下校路なんですよ。それが、突っ切ってんじゃねえ、と。真ん中は開けて端を歩け、と。そうでも言わんばかりに、大きな建物が建てられていたのです。もう、何も見えませんでした。

 大学に着いて最初に目に入ったのは、満開に近い綺麗な桜並木。最初にこれを見たのがもう三年前なんて、信じられません。桜並木に負けないように隅に飾られている枝垂桜。どちらもとっても趣深いです。記念にパシャリ。気が付いたのです。昨年、2020年、最後に見た桜も、大学の桜並木でした。ちょうど今と同じ、3月の末でした。それが、昨年見た最後の桜でした。


 一年ぶりの大学は、物々しいというか、厳重に管理されているというか。校門をくぐるにも学生証でピッてしないといけなくて、一方通行で、入り口と出口が決まっていて。不自由が増えていました。一瞬、こう思うのです。「ここ、私の大学だっけ。」

 そんな大学に、4月からまた、通うのです。そこには、一年以上会っていない沢山の友だちと、未だ一度もキャンパスを見ていない2020年度の新入生と、来週入学式を迎える新入生。二世代の新入生を迎える、私たち上級生。まだ一年生だと思ってたんだけどな。気付いたら三年生になろうとしています。

 どうか、今年はみんなの思い出が、昨年よりも沢山出来ますように。思い出を作ることが、非難されない世の中になりますように。私も、思い出を作れますように。

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