人生で初めて惚れたアイドル へ

人生で初めて惚れたアイドル へ 

 こんにちは。いつも元気を頂いています。はのとと申します。

 私が皆さんを知ったのは、小学校高学年の頃でした。見ていたドラマの主題歌を担当されていて、カラオケで歌うためにYouTubeでよく聴いていたのですが、そのまま関連動画の渦に巻き込まれたことがきっかけです。

 当時はアイドルどころか、好きな俳優などの話をすることも恥ずかしく、ましてや両親は最近のアイドルにマイナスな印象を抱いていたので、言い出せないまま時間は過ぎていきました。
 冠番組も見られず、歌番組もたまたまついていないと見られず、CDも買えず。たまに母のパソコンを借りては、YouTubeで色々な曲を聴いていました。

 転機が訪れたのは、中学1年の冬。皆さんが夢の国立競技場でライブを行うということを知ったときでした。ネットで情報をよく集めていたおかげで、国立を目指していたことも、それがどれだけ難しいことなのかも知り、その知らせに心の底から叫びたくなるような感動を覚えたのです。
 私は一週間以上悩んだ結果、母に打ち明けることにしました。現場のチケットは当然のごとく完売だったので、地元の映画館で上映されるライブビューイングに参加することに。

 人生初めての経験でした。ライブまでの日数を指折り数えることも、公式サイトから事前にグッズを購入することも。サイリウムが届いた日に至っては、部屋を暗くして、緑に光ったその場所に心を躍らせていました。

 人生初めての経験はもう一つありました。一人で電車に乗ること。家族と以外電車になんて乗ったことがありませんでしたから、何度も調べて、確認しての繰り返しです。ライブよりも電車に緊張していたかも知れません。ごめんなさい。

 当日、運よく電車の乗り継ぎも成功し(実はたったの二駅先でした)、映画館へ急ぐと、そこには残り一つのグッズであるマフラータオルが。私が目の前で悩んでいると、素敵な紳士たちが「最後の一つはお嬢ちゃんを待ってたんだね。」と声を掛けてくださいました。定評はありましたが、本当に皆さんのファンの方々は人として素敵な人なのです。困っている人は勿論、女性や子ども、お年寄りの方を始めとして、老若男女に易しいのです。

 ファンはアーティストの写しだとよく言いますが、本当にその通りだと思います。皆さんが必死に駆け抜けて来た日々に惚れた人たちは、皆さんがもっと前に進めるように必死に応援をしているのです。だから、皆さんの輝きを意識するだけで、人は優しくなれるのです。全ては、皆さんの残してくれた足跡なのです。

 ライブは大成功。満席に埋まった田舎の映画館では、あちこちからすすり泣く声がしていました。そして、直接は届かないけれど必死に送ろうとする声援も。今この場所だけでは、バカになっていいじゃない。現実を見なくたっていいじゃない。この映画館から、国立競技場に届くと思ったっていいじゃない。

 一年後の冬、私はファンクラブ会員としてさいたまスーパーアリーナにいました。初めての現地。緊張で鼓動がうるさかったけれど、ファンの皆さんの声を聴いていると、なんだかホッとするようでした。

 ライブ終演後、私はサイリウムの先端をなくしてしまったことに気が付きました。時間をかけて入念に探しましたが、見つからず。そんな姿を見かねた紳士が私のために立ち止まり、一緒になって探してくださいました。それに呼応するように、近くを通った多くの方々、皆さん私よりもかなり年上でファンとしての人生も長いだろうに、どこの馬の骨かもわからない小童のために、背を低くして探してくださったのです。
 私は涙が止まりませんでした。会場スタッフの方々に退場を促されるまで、皆さんは動きを止めませんでした。私なんかのために。

 さらに驚くことに、最初に声をかけて下さった紳士は、「私のをあげるよ。どうせ自作の物に作り替えようと思ってたんだ。」と、サイリウムの先端を外して私に渡しました。受け取れるはずがありません。紳士の言葉が偽りであることは明白でした。限定のフィルムが入っているのです。どうしてそれを、数分前に出会ったばかりの娘に渡せるのでしょうか。

 それでも紳士はかたくなでした。最終的に私のカバンに押し込み、そのまま去ってしまったのです。私は絞り出した声でお礼を述べました。紳士は、やっぱり優しい笑顔で手を振ってくれました。

 それから数年が経ち、私の一番の憧れの人であったメンバーが卒業してしましました。抜け殻のような日々を超えて、今の私はあります。
 卒業したメンバーも、今いるメンバーも含めて、皆さん自身なのですよね。純粋無垢という言葉が良く似合う皆さんが、去っていったメンバーに心を向けない訳がないのです。彼女たちと作り上げてきたグループを、今も尚牽引し、人々にエールを送り続ける皆さんの姿は、いつでも私を奮い立たせます。

 高校生以降は、忙しさも相まって少しずつ距離を置いてしまったけれど、やっぱり私の根底には皆さんがいます。私の青春時代は、皆さんで出来ていました。

 これからも、人々を照らす光となってください。皆さんがそうする限り、それに応じて人々が皆さんを照らします。これからも、サイリウムの光を目指して歩いて行ってください。


2021年2月15日 はのと

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