為替レート決定理論
こんばんは。飯能高校探究部のギンです。
今回は、為替レートの決定理論について話していきたいと思います。
購買力平価説
購買力平価説とは、スウェーデンの経済学者カッセルが提唱した内外の物価の比率によって名目為替レートが決まるとされる理論で長期の変動を説明しています。
購買力平価説には絶対的購買力平価説と相対的購買力平価説があります。
絶対的購買力平価説は、1本の水が日本では100円、アメリカでは1ドルとしたときに名目為替レートは1ドル100円になるとされるものです。
相対的購買力平価説は、物価上昇率の比によって名目為替レートが決定されるとするものです。
例えば、1ドル100円だったとし日本の物価上昇率が5%、アメリカの物価上昇率が10%の場合1本の水が日本では105円、アメリカでは1.1ドルになります。
そうすると1.1ドル105円になり両辺を1.1で割ると1ドル95.4円になります。
実際の動きを見てみると長期の決定理論なので短期的な動きには連動していませんが長期的な方向は実際のレートと整合的です。
ここ2年程度は大きく購買力平価と乖離していますが、日本の物価が上昇するか円高に向かうことで購買力平価に収束していくと思います。
フロー・アプローチ
経常収支(貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支)や金融収支(直接投資、証券投資、外貨準備、金融派生商品、その他の投資)など一定期間に行われる対外的なフローによって名目為替レートが決定されるとする理論がフロー・アプローチです。
経常収支の黒字額が増えれば円買いドル売りになり円高ドル安、経常収支の赤字額が増えれば円売りドル買いになり円安ドル高の圧力になります。
また、第一次所得収支の黒字増加による経常収支の黒字増加より貿易・サービス収支の黒字増加による経常収支の黒字増加のほうが円高ドル安圧力は強くなります。
金融収支の黒字額が増えれば円買いドル売りになり円高ドル安、金融収支の赤字額が増えれば円売りドル買いになり円安ドル高の圧力になります。
実際の貿易・サービス収支、貿易収支を見てもあまり関係があるようには見えません。
これは貿易取引量が年間約100兆円前後なのに対して東京外国為替市場で行われる1日の取引量が約60兆円だからです。
アセット・アプローチ
さっきも触れましたが、貿易取引量よりも資本取引のほうが多く、貿易より金融資産の需給の方が実際の為替レートに影響しているのではないかというのがアセット・アプローチです。
今回は、金利平価説について話します。
金利平価説は、内外の金利差の違いによって名目為替レートが決定されるという理論です。
日米の金利差とドル円をみると大体は同じように動いています。
過去34年間の相関係数のデータをみると正の相関は27回うち0.5以上が18回で、負の相関が8回でうち-0.5以下が6回なので基本的には金利差と同じように動いています。
ここ2〜3年に関してはほとんど金利差で説明できるくらい金利差と同じに動いていますが2024年は金利差と10円近く乖離して推移しています。
散布図でみても相関係数が0.9を超えていて決定係数が0.847と非常に関係が強いことがわかります。
今回は為替レートについて話しました。
これからも経済、物価、金融について話していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
〜顧問のつぶやき〜
今日は4月1日。
全員1年次生だった探究部員も晴れて2年次生となりました。
ギンには今年度はさらに経済、物価、金融について深く学んで欲しいと思っています。
個人的にはこの間探究部員のHiDEが書いたトラックドライバー2024年問題でも言及した「賃上げ」に興味があります。
以下の三井住友DSアセットマネジメントの3月29日付けのレポートを読む限りでは、2024年の平均賃上げ率は第2回集計で5.25%、7月上旬頃の最終集計でも5%超なら33年ぶりの高水準とあります。
https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2024/03/irepo240329.pdf
「賃上げの動きは中小企業にも広がっている」とあるので、HiDEの記事のトラックドライバー2024年問題における賃上げの部分については改善される見込みと読んで良いのかどうか。
賃上げの実感が個人的にはないので「う〜む」となってしまいますが、ここ最近では大手を中心にベアと定期昇給とを併せて7%超の賃上げを実施する企業も出てきているようです。
↓以下の記事にあるように、基本給が従業員平均で月当たり約25,000円の引き上げともあれば賃上げの実感も湧いてきそうですね。
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