見出し画像

やはり生クリームは嫌いだ

私は生クリームが苦手だ。
甘ったるくて、しつこくて、少し食べたらもうフォークが進まない。気持ち悪くなり頭痛すらする。

生クリームは何も悪くない。ただただ甘いだけでそれが悪いことだなんて誰も言わない。





以前、生クリーム大好きな恋人がいた。

彼自身も小動物のような甘くて濃い顔面に小柄な身体で虚弱だった。


狭い部屋ですれ違うたび抱きついてきたり、常にスキンシップを取りたがっていた。

悪い人ではない。
声を荒げて怒ることもない。

人との交流も少ないので浮気の心配もない。

しかし男らしさもない。

まるで生クリームのようにどこまでも柔らかくて甘いだけで

芯の強さも刺激もなかった。


スキンシップばかり求めてきて出かけない
デート先の検索も予約も全て私でついてくるだけ
お酒も飲めない
会話の内容もいつの間にか、元カノや同僚の悪口か、自分の収入の話ばかりだった



彼と過ごす甘いだけの時間が重く、会いたがる彼に応じられなくなっていった。


食べ進めるごとに吐き気がする生クリームのように
関係を続けるほど嫌気が差してきた

とうとう我慢できなくなり別れを切り出したが、
何も悪くない相手と別れるのは一苦労だった。

あるものを証明するのは簡単であるが、ないものを証明することは難しいのと同じで、相手に(足り)ないものを指摘してそれに説得力を持たせるのは難しかった。


だがこのまま関係を続けていたら、、、
生クリームを無理に食べ続けた時のように、もう2度と顔も見たくないほど嫌いになってしまうと感じた。


ただ甘いだけの存在が、そのくらい嫌だった


ケーキを食べるときのブラックコーヒーのような存在があったら
もう少し上手に関係を育めたかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?