「金魚すくい 後の祭り」

瞼の中まで侵食するオレンジが鬱陶しい。閉じたままでいる方が難しいから諦めて目を開ける。と、そこには入道雲。次生まれ変わるなら魚じゃなくて鳥だといいね。横になったお腹に小さな鉢を抱える。−−あ、冷たい。
コバルトブルーの爪を雲に透かす。泳ぐ手と溺れる自分。誰か掬ってくれないか。誰も救ってくれないか。新鮮なオーツーを取り入れて古くなったシーオーツーを吐き出す。次祭りに行っても絶対やらない。もうできない。

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