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わかりやすい!中医学の基礎Vo.7

中医学の基本となる考え方(中医哲学論)



中医学を学ぶ上で、中医学の根幹となる考え方を知っておくことはとても大切です。
臨床上は必要はありませんが、国際中医専門員の試験には必ず出てくる概念です。


唯物論


 宇宙に存在するありとあらゆるものは全て、目に見えない物質の集合体であるとする概念を「唯物論」と言います。


少し無理はありますが、現代科学的に解釈すれば分子よりもはるかに小さい素粒子が、大きな揺らぎの中で一定期間集まってできたものが目に見える「物質」として存在し、またその揺らぎの中で消失して生まれるということを繰り返しているのが、現在私達が見ている「現実」だということです。


陰陽五行と唯物論



 この宇宙に物質として存在するありとあらゆるものは全て、陰と陽、さらに五つの属性に分けられ、これらの相互関係から現在の現象や症状が現れています。

私たちが病気や不調となるのは、その関係性に支障が生じているためであり、その関係性を正しくすることが病気の改善や治療につながるとする考え方が、陰陽五行の考え方の要となっています。

整体観念


 中医学では、人を含む全ての生物、現象はそれぞれに密接に関連して存在していて、決して切り離して考えることはできず、人の体においても、五臓六腑はそれぞれ独立して機能しているのではなく、お互いに影響し合いながら体の機能を維持し、生命を営んでいると考えています。(整体観念)

また、人は自然界の影響を大きく受けて存在しており、人と自然とを切り離して考えてはいけない、自然の変化・環境の変化にも人の健康が大きく左右されると考えて、私たちは自然と一心同体、そもそも自然と私たち自身を分けて考えることはできないと説いているのです。


まとめ


中医学は、宇宙という大きな自然環境の中で、独立した存在ではなくあらゆるものに影響を受けながら存在し、また人体という小さな宇宙の中でもそれぞれの器官や臓器は、独立して働いているのではなく、お互いに影響を与えながら人というものを形作り、生命を維持しているという考え方に基づいています。

これら、中医学の独特な考え方は、現代に生きる私たちにとってもとても意義のある考え方であると思いませんか?

 人は、自然を破壊し、コントロールしながら現代の文明を築き上げてきました。

しかし自然を破壊すること、コントロールすることは結局は人そのものを破壊し、自然と調和していた時代には無かった病気(生活習慣病、うつ病などの精神疾患、がん、化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎など)をたくさん生むことに繋がりました。



人が自然と調和するということを、東洋医学を通して、また漢方薬を通してご自身の体で実感し、実践していくことこそ、人生100年時代を迎える私たちのセルフケアに最も大切なことではないでしょうか。

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