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わかりやすい!中医学の基礎

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中医学を勉強してみたいけれど、難しそう・・・ 中医学初心者、本を読んでもよくわからない・・ そんな方に向けて、できるだけわかりやすく『中医学の基礎』を解説していきます。 中医…
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#中医学

わかりやすい!中医学の基礎Vo.24〜津液のトラブル〜

今回は津液のトラブルについてご紹介いたします。 津液のトラブルには、 ①津液が流れずに一部に必要以上に多くなっている状態 ②津液が不足し、からだが『乾燥状態』になっている状態 があります。 津液停滞  体を潤すはたらきのある津液の流れが悪くなり、一部にたまっている状態を「水毒」といいます。水分代謝が悪く、体内にたまっているために冷えやすく、むくみやすくなることが特徴です。 この病態は長引きやすく、不調を感じたら、なるべく早く対処することが大切です。 冷たいものを取り

わかりやすい!中医学の基礎Vo.23〜『血』のトラブル2 『血瘀(けつお)』

血瘀とは 東洋医学では、『血』が流れにくくなり、滞っている状態を、「血瘀(けつお)」と呼んでいます。 西洋医学的な、血液の流れが滞る末梢循環障害だけではなく、子宮筋腫やがんなどの腫瘤も広い意味での血瘀の状態であるととらえます。 血瘀では、血がスムーズに流れず、粘性を持った汚れた血が滞っている状態です。(古血の溜まり) 栄養に富んだ新しい『血』が流れ込まないと、からだの各組織は栄養されず、しみやくすみ、肌荒れなどの皮膚トラブルが起こりやすくなったり、肩こりや首のこりなど

わかりやすい!中医学の基礎 Vo .22〜『血』のトラブル 1 『血虚』

『気』のトラブルに続いて『血』のトラブルをご紹介します。 『血』のトラブルには、『血虚(けっきょ)』と『血瘀(けつお)』があります。 今回は、40代50代の女性では最も不調の原因となりやすい『血虚』についてです。 血虚について 『血虚(けっきょ)』は、血が不足していることを指します。 血が不足し、全身に血がめぐりにくくなり、組織が栄養不良となっている状態です。 「血が不足している」というと、貧血をイメージする方もいらっしゃるでしょうが、血虚=貧血ではありません。

わかりやすい!中医学の基礎 Vo.21〜『気』のトラブル2 『気滞』〜

 『気』は、主に肝の疏泄作用(スムーズに流れを作るはたらき)によって体のすみずみまでめぐらされます。 気の流れを正常に保つために必要な肝のはたらきにトラブルが起こると、気の流れがスムーズにめぐらす 「気滞」という状態がおこります。 肝は、五行で木、季節では春との関連が深いため、特に春に調子が悪くなることが多いとされます。 五月病などの心身の不調も、この肝と深い関わりがあります。 春には、肝の「めぐらせる働き」をスムーズにするために、酸味のあるものを多く取るのも良いで

わかりやすい!中医学の基礎 V.19〜舌でわかるからだの状態

中医学では、『望診』・『聞診』・『問診』・『切診』という4つのからだを診る方法があります。 日本では、診断(病名を決定すること)ができるのは医師だけなので、薬剤師や登録販売者ができるのは、『全体的・部分的な状態を確認し、中医学的にからだの状態を推測すること』です。 望診というのは、雰囲気、目の力、顔の表情や色、手足の状態などを全体的・部分的に見ることで、その中に『舌を診る』ことも含まれています。 聞診は、音を聞くこと、問診は、生活習慣や既往歴、排便や排尿の状態、家族歴な

わかりやすい!中医学の基礎 Vo.18〜六淫が体内で起こる場合〜

Vo、17では、病気になる原因についてご紹介いたしました。 六淫の風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪のうち、熱中症に代表される『暑邪』が原因となる病態は、外の環境(炎天下での運動・エアコンが効いていない部屋に長時間いるなど)によるものですが、 他の5つは、からだの『気血津液』の過不足や熱を作るはたらきの不足によってからだの中に原因があることがあります。 今回は、からだの内側の原因から起こる5つの病邪についてご紹介致します。 1 『内風』 体の内側に風邪がある場合には

わかりやすい!中医学の基礎Vo.14〜脾の役割〜

脾の役割脾の定義 中医学では、『脾』とは消化吸収し、栄養物質を全身にめぐらるはたらきをもち、西洋医学でいう胃・膵臓・小腸の一部を含めたものを指します。 脾は五行の『土』と関係が深い 五行では『土』と関連が深い臓です。 土は、自然界にあるもの全てをのせている基盤であり、全てのものに栄養を与えて生長や変化の源となるものです。 『脾臓』もからだにとっては『土』のように、成長と変化の基盤となるものなのです。 脾のはたらき3つ ●運化と昇清 飲食物を消化し、栄養や水分

わかりやすい!中医学の基礎Vo.12〜五臓と役割〜

今回から、五行説との関連が深い、五臓の役割についてご紹介していきます。 五臓と六腑中医学では、『臓』と『腑』にはそれぞれ次のような違いがあると定義しています。 臓 臓とは、『実質的な臓器』をさし、具体的には『中身が詰まっていてからだをスムーズにはたらかせるために重要な役割をしている』臓のことです。 五臓(裏) 心・肝・脾・肺・腎 腑 『臓」とは、中身が空洞で、臓で作られてた栄養物質や気、津液が通過する器官を指します。 六腑(表) 小腸・胆・胃・大腸・膀胱・三焦

わかりやすい!中医学の基礎Vo.7

中医学の基本となる考え方(中医哲学論) 中医学を学ぶ上で、中医学の根幹となる考え方を知っておくことはとても大切です。 臨床上は必要はありませんが、国際中医専門員の試験には必ず出てくる概念です。 唯物論  宇宙に存在するありとあらゆるものは全て、目に見えない物質の集合体であるとする概念を「唯物論」と言います。 少し無理はありますが、現代科学的に解釈すれば分子よりもはるかに小さい素粒子が、大きな揺らぎの中で一定期間集まってできたものが目に見える「物質」として存在し、またそ

わかりやすい!中医学の基礎Vo.6

中医学の考え方の元となっている世界観について学びましょう。 この考え方は、3大古典の1つ、『黄帝内経(こうていだいけい)』に記されています。 中医学とその世界観 黄帝内経より抜粋 1)人は天地の気を受けて生まれた   中医学では、世界を陰と陽の相互作用によって生じた物質と考えており、人も物質世界の一部として捉えています。 2)形と神を分かつことはできない  肉体と精神は分けられないということ。形(肉体)があって生命があり、生命があってこそ精神活動や生理機能がある

わかりやすい!中医学の基礎Vo.5

日本で漢方薬が広まるまで 現在、日本で使われている漢方薬の起源は、古代中国にあります。 当時最先端であった中国の思想や医学を積極的に取り入れ、日本の風土、気候などにあわせて独特の医学(漢方)が生まれました。 『気』『血』『水』の概念を学んだところで、漢方薬の歴史についてふれてみましょう。 漢方薬の歴史漢方薬の歴史は古く、今から1800年ほど前に張仲景(ちょうちゅうけい)が記した「傷寒論」が、漢方薬が掲載されている書物の最も古いものとされています。 漢方薬はあまり詳しくな

わかりやすい!中医学の基礎講座Vo.3

体の細胞の隅々まで滋養する『血(けつ)』のお話 中医学では、「血」は、「ち」ではなく「けつ」と呼び、血液そのものよりももう少し範囲が広い意味を持っています。 「血」の中には栄養物質が溶け込んでおり、全身に栄養素を送るはたらきをしていていると同時に、精神的な活動をコントールしてるとも考えられているのですね。 血が不足するとイライラや眠れないなどの神経活動にも影響すると考えられています。 「血」は、私たちが食べたものからか脾胃で作られて全身に運ばれるとされています。

わかりやすい!中医学の基礎講座Vo.2

前回は『気』『血』『津液(水)』について大まかに触れました。 中医学に興味のお持ちの方は、これから中医学の本を読むこともあるかと思います。 中医学では、人体における壮大な概念(フィクション)をもとに私たちの病気とその治療法について考えていきます。 西洋医学を学んできた方には、最初は理解できないことだらけ。 ???の連続です。 『気』『血』『水』だけをとっても、それが本当か??を追求することに意味はありません。そう考えて、治療していくと上手くいったという結果の集積

わかりやすい!中医学の基礎講座 Vo.1

東洋医学を学ぶ意味 病院に行くまでもないけれど、なんとなく不調。そんな時に試してみたい漢方薬。 現在、漢方薬は病院などで処方されるだけではなく、ドラックストアやネット通販でも気軽に個人が購入することができますね。 ただ、実際に購入するとなると、どの漢方薬を選んだら良いのかわからないという方も多いのではないででしょうか。   この講座では、東洋医学の基礎的な考え方(主に中医学的な考え方)をベースに、ご自身で漢方薬を選ぶための知識を学ぶことができます。 病院に行くほどでは