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言葉の刃に傷つかない方法を身につける。

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」というのはアドラーの有名な考え方ですが、実にそのとおりだと思います。
特に職場。
異なるバックグラウンド、信念や主義主張、マインドの他人が、同じ目標に向かって進まなければならない、というのは非常に困難なことです。

昨年、ひどいパワハラの上司にあたり、毎日頭痛がして、これはちょっと危険だな、と思ったことがあります。
相手にもそれなりの言い分はあるかと思いますが、録音すれば一発でNGな言葉を連発され、精神的に結構きつかったです。

そのとき、自分の気持ちをなんとか整理しようと、何が苦痛なのかを書き出したところ、意外なことが見えてきました。
私の苦痛の原因は、大きく分けて二つでした。

① きつい言葉をぶつけられて、傷ついたから。


①による苦痛は、単純に自分が傷ついて悲しかったということです。
言葉は刃です。一度口から出た言葉は、胸の奥に深く刺さって、しばらく傷口が痛みます。
取り繕われたとしても、言わなかったことにはできません。

実際、酷いことを言われたあとは、家に帰っても寝る前も朝起きても上司の言葉を反芻してしまい、それが頭痛の原因であったように思います。

この痛みを振り払うため、私が何度も自分に言い聞かせたことは、これです。

「他人に私の言い分を理解してほしい」は単なるエゴ。
聞いた意見を受容するかしないかは常に相手次第。
だから、何度も反論しない。
相手の言葉を受け取らない。スルーする。傷つかない。

経緯ですが、私から見ると至って感情的な誤った判断を上司が下そうとしたため、「そうではないと思う」ということを何度か伝えたところ、最終的に上司がキレてパワハラ発言に。
でも、相手は上司。決定権は彼にあるので、結果だけ見ると、私はただ無駄に説得を試みて神経をすり減らし、状況は変わらなかったことになります。
今となっては、一度は反論することも良いけれど、それで変わらなければ、もうスルーするべきだったのかなと思います。


② 他の人から、「うまくやってほしい」と言われて、自分だけが我慢しているように感じるから。


自分の感情を掘り下げてみたところ、意外にも①より②のほうが苦しい原因だということがわかりました。

これは、やりとりを見た他の管理職が、私に「あの人おかしいけどさ、謝って下手に出てうまくやってよ(俺が困るからさ)」と言ってきたことです。
仕方なく指示に従うことにしたのですが、このときの徒労感はかなりのものでしたね。
自分が直接ひどいことを言われた場合、言い返せたりもするのでそれほどのダメージでもないのですが、これは非常に苦痛でした。
何故、私だけが一方的に我慢しなければならないのか…。

こういう場面はあると思うのですが、色々考えた結果、一つ思ったのはこれです。

他の人が、うまくやってほしいと思うのは当然。
でも、うまくやるかやらないか、やれるかやれないかは別の話。
過度に他人の期待に応える必要はない。

周りからのこのような依頼についても、淡々と話は聞く。
でも、できなければ仕方ない。
自分を貶めてまで上司の機嫌をとる必要はなかったかな、と今は思います。

例え上司と部下の関係であっても、およそ人間関係において、いずれかが一方的に我慢するようなことはあってはいけないと思います。
上司が言ったことを、脳みそを空にしてただこなすようでは、新しいアイデアや柔軟な発想は生まれません。人間誰しも間違うことがあるし、それを誰も指摘しなくなったら、組織は終わってしまいます。 


そして最近、自分に言い聞かせていることがもう一つ。

職場は、仲良しサークルではない。
皆、仲良く何の不満もなくできたら、それはもう最高だけど、基本的にそんなことはありえない。
だから総ての人とうまくやる必要はないし、仕事に支障が出なければ、それで構わない。

ついつい、学校のサークルの延長のような仲の良さを職場にも求めてしまい、そんなことは出来よう筈もなく悲しくなるのですが、「そもそも仲良くなる必要はないよね」と思ってしまえば、だいぶ心持は違います。

パワハラはダメ、発言には気を付けるように、という指導は受けていても、人間そんなに変わりません。
自分がかつて上司にされたことを、今だに部下にしてしまう人もいます。

当然、組織は変わっていかなくてはならないと思いますが、自分自身も、言葉の刃に傷つかない方法を身につけ、理不尽なことがあっても真っすぐに立っていられるようになりたいものです。



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