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愛媛県今治市の正栄汽船が保有するコンテナ船のスエズ運河での座礁事故と今後の影響について

2021年3月23日東欧時間午前7時40分頃、そのニュースは世界中を駆け巡った。状況はこうだ。

正栄汽船が保有し、台湾のオペレーター会社が運行するメガコンテナ船 エヴァーギヴン(全長400m、幅約59m)がおりからの砂嵐に巻き込まれ視界を失ったためにスエズ運河(※)で座礁し、同運河を塞いでしまったため後続の船舶15隻を含む航行を予定している全ての船舶の交通に影響を及ぼし、ひいては世界の物流に多大なる影響を与えかねないというとんでもないニュースだった。

※ スエズ運河 19世紀にフランス人レセップスが主導して開通させた地中海と紅海を結ぶ全長約193kmの運河。エジプトの運河庁が管理している、海運には必要不可欠の要所である。世界中の船舶はこのスエズ運河のおかげでアフリカ大陸の最南端、喜望峰を通ることなく航行できるのである。

1 スエズ運河の問題点 スエズ運河の河岸は同運河のロケーション(砂漠地帯)とも大きく関わっているが、今回のエヴァーギヴンの様に一旦座礁するとなかなか離礁できないという問題点を孕んでいる。この点中米パナマに位置するパナマ運河は運河の両岸がコンクリートで守られているため少なくとも「座礁」という現象は皆無である。(他方で、パナマ運河では両岸がコンクリートで建設されているがゆえに航行時に船舶の側方を大きく傷つける事案も少なからず発生している)

2  エヴァーギヴンについて 今回スエズ運河で座礁したエヴァーギヴンはいわゆるコンテナ船であり、中でも「メガコンテナ船」と呼ばれる超ド級の大きさを誇る。どれくらいの大きさか?皆さんが道路を走行時コンテナを積載したトレーラーをよく目にされることがあるかと思うが、あのコンテナが業界では20フィートコンテナと呼ばれる世界で一番流通しているコンテナのサイズである。エヴァーギヴンは、この20フィートコンテナを「2万個」積載できるコンテナ船といえばその大きさが容易に想像できよう。2万個のコンテナを積載した相当な重量のコンテナ船が砂の中に座礁・埋没している訳であるから、そう簡単に離礁できないのは自明の理かと。

3  今回の座礁事故が与える問題点 既述の通りスエズ運河を航行する船舶は年間約1万5千隻とも言われ、アジアから欧州への物流には不可欠な海上交通の要所であることは言を待たない。今回の座礁事故でエヴァーギヴンの後方を航行していた船舶は15隻とも言われるが、これらは前にも後ろにも行けず運河の途上で正に「立ち往生」している。加えて、スエズ運河を通峡予定であった数多の船舶は紅海或いは地中海にて投錨して待機を余儀なくされている。これにより世界の物流に多大なる影響を及ぼしており、事実原油価格は日々上昇している。離礁が1日遅れれば、その被害額は兆単位にも昇るとも言われる。

おわりに 今回のメガコンテナ船のスエズ運河における座礁事故、また既に記憶から風化しつつあるモーリシャスにおける燃料汚染事故とどうも最近中四国の企業による中東アフリカ絡みでの事故が立て続けに発生している。中東アフリカ地域は海運業界の鬼門となりつつあるのか?







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