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外国人技能実習制度は「悪」か?

 2021年7月1日、アメリカ政府(国務省)は同省のレポートを通じて我が国の技能実習制度が「人身売買にあたる」として同制度を批判しました。これを受け日本政府が動き、マスコミ(7月25日付日経新聞社説)が技能実習制度を「悪者」として疑問を呈するとともに「廃止」まで声高に叫びはじめるという現象が起きています。技能実習制度は本当に悪なのか、考察しました。

1  技能実習制度とは?

 平成5年から始まった制度で、外国人実習生(労働者ではありません。開始当初は研修生と呼んでいた)を85職種156作業(令和3年3月16日現在)に分類された「現場」で実習させ技術を修得させるという所謂「キャパシティ・ビルディング」のスキームです。

 一見労働者に見えますが外国人技能実習生は「実習」をしているのであって、労働者ではありません(ここが大事です)。しかし、表面上は「実習=人手不足の解消の一助=一見労働に見える」ので労基法上の労働と同じ扱いをして給与を支払う形にしているため「技能実習生は労働者」との誤った認識が定着しているのです。

 受け入れる企業の中には実習生を人手不足解消の手段として使用するなど誤った認識で実習生を使う(実習させる)一方でこの制度自体に対する国内外の理解・認識が不足しているため「人身売買」「奴隷制度」などのマイナス・イメージや単語が先行・独り歩きしているのが実態ではないでしょうか。

 再度確認しますが、技能実習制度における実習生は85職種156作業の技能を身につけるため、我が国に来て「実習」しています。彼らは労働者ではありません。制度上5年後には必ず母国に帰らなければなりません。そして我が国で身につけた技能を母国のために生かす任務を帯びています。

2   米国が「人身売買」と技能実習制度を公的に批判

     2021年7月1日、米国務省のブリンケン国務長官は人身売買に関する年次報告書を発表しました。その中で日本の技能実習制度を名指しで批判しました。これは同制度が平成5(1993)年に開始されてから初めてのことです。

 https://www.state.gov/reports/2021-trafficking-in-persons-report/japan/

 この米政府による国務長官会見と人身売買に関するレポートの内容を機に日本の政府、マスコミが一斉に動きました。

3  日本政府の動き

 7月1日の国務省発表から程なく(というか、翌日)外国人技能実習制度に大きく関わる公益財団法人「アイム・ジャパン」が政府から是正勧告を受けます。

外国人実習生受け入れ団体 アイム・ジャパンに是正勧告 内閣府
2021年7月2日 17時25分
外国人技能実習生の国内最大の受け入れ団体である公益財団法人「アイム・ジャパン=国際人材育成機構」が、前の会長の知人が経営する会社に6億円近くの物品などを優先的に発注していたとされる問題で、内閣府は特定の企業への利益供与を禁じた公益法人認定法に違反する疑いがあるとして、徹底した原因の究明などを行うよう勧告しました。(NHKニュースから引用)


あまりのタイミングに驚きを隠せませんでした。

4  ベトナムの送り出し機関大手5社が日本への人材紹介業務停止処分

 技能実習制度を監督するため国が設けた認可法人・外国人技能実習機構(OTIT)が、ベトナムの大手送り出し機関5社からの実習生の新規受け入れを停止する方針を、ベトナム政府に文書で伝えたことがわかった。5社が日本に送り出した実習生の中から、多数の失踪者が出たことが理由とされている。(朝日デジタルニュースから引用)

5  大手新聞社が社説で技能実習制度を酷評

  2021年7月26日付日経新聞が「技能実習は速やかに廃止を」とする社説を掲載して、技能実習制度の早期廃止を訴えました。

 7・26日経社説は、会計検査院(以下「会検」)が過日行った技能実習機構(以下「機構」)に対する監査結果データを基に技能実習制度の廃止と特定技能との統一を訴えています。

  🔹 会検が機構に監査を実施したところ機構は外国人の技能実習生が逃走した企業への聞き取りなどの実地検査やタイムカードの検証などを行っていない、いわば怠業、職務懈怠が発覚した

  🔹 これは機構の人手不足が原因

 社説の終わりには「技能実習を早期に終わらせ2019年から始まった特定技能に一本化すべき」と締め括っています。

6  技能実習制度はほんとうに「悪」なのか?

 制度そのものは崇高な理念に裏打ちされた、立派な国際的支援システムなのになぜこうも批判の矢面に立たされるのでしょうか?

 その一因は、我々日本人の特性とマインドにあるのではないかと思います。元々「人を使う」という行為に慣れていない島国の単一民族であり、外国人は夷狄として認識してきた歴史のある国ですから仕方がないのでしょうが、それは江戸時代、明治時代遅くとも昭和時代には意識改革していなければならない気質だと思われませんか?

 日本が単独で国際社会を生き抜いて行く時代がこの先あるとしても、現段階では人口減少と高齢化を「誰か」に支えてもらって「今」を生き抜いていかなければ「将来」はないと考えます。現代はその過渡期であり、その「誰か」とは他ならぬ日本に実習に来てくれ、エンジニアとして働き、労働者として日本の産業の成長を助けつつひいては日本への理解を深めようとしてくれる、将来的には日本の良き理解者として助けてくれるかもしれない外国人の面々ではないでしょうか?

 こうした外国人との共生を念頭に置いた社会を作っていくための場の選択肢の一つとして技能実習制度が位置付けられているのではないでしょうか?

 みなさんはどう思われますか?

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。外国人問題・共生問題は私のライフワークの一つとして位置付け、日々勉強させていただいております。こうした課題について今後も発信して行きたいと思っております。










  













    



のために我が国において「実習」来て技能をに繋がる外国人の研修制度を根拠法規の整備や制度を監督する機構を創設するなどして最近見直し、


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