発言リーク事案を未然に防ぐにはどうすれば良いか?(平井IT大臣発言問題を題材に)

 平井IT大臣の発言を巡りあちこちのマスコミが騒ぎ立てて喧しいですね。でも皆さん一部報道の上っ面だけ見て今回の問題の底流にある本質を見失ってはいませんか?

1 元来オフレコであるべき平井大臣の発言が何故「表沙汰」になったのか?

 平井大臣が発言したと言われる数々の恫喝にも似たような発言。「NECには死んでも発注しない」「象徴的に干すところを作らないと舐められる」「脅しておいたほうがいい」などと発言しており、相手を恫喝するよう職員に指示したとも受け取れますね。

 では、何故この一部関係者しか知る由もないオフレコ即ち「オフ・ザ・レコード」発言が「オン・ザ・レコード」となり、暴露・拡散されてしまったのでしょうか?

 理由は、シンプルです。平井大臣が出席した会議関係者の中にIT企業と通じている「獅子身中の虫」が数匹いて、会議の一部始終をスマホなどで録音して何かと引き換えにその録音内容をIT企業に渡すという、あってはならない「国家公務員法違反(守秘義務違反)」をやってのけたに違いないからです。

2 誰が得をしたか?

 今回の件で一番得をした者が今回の暴露事案を仕組み、「手駒」を使って会話内容を録音させ暴露したものと考えるのが一般的でしょう。その「得をした者」とは?それはニューズウィーク日本版の記事を読んで頂けば大体のことはお分かりになるかと。

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3 同様の事案の再発防止策とは?

 今回の件で平井IT大臣も自身の「脇の甘さ」を猛省され、今後の会合などでは相当慎重に発言されるものと信じますが、ここでもう少し再発防止について深掘りしてみたいと思います。ことほど左様に、洋の東西や古今を問わずこれまで重大発言や失言・暴言を録音機材で収録されて痛い目に遭った人々は枚挙にいとまがありません。高視聴率を誇った「半沢直樹」をはじめ、映画やドラマの中でも何度もそのようなシーンがあり皆さんもよくご存知ですよね?

 この問題の根本的な解決は、シンプルです。重大な会議や限定的な場所では録音機材やスマホを一時的に管理者が一括管理して会議室には持ち込ませないことです。世の中便利になりすぎて、声の主が誰かがわかる状態で発言を録音されるから問題なのです。スマホや録音機材を取り上げられたら、リークしたい側の人間はメモを取るしかありませんし、メモに書かれた文字では発言の主を特定することは到底不可能です。

4 情報機関などでは常識的に運用されている

 私が2003年に英国の某情報機関の本部を訪れ、相手と情報交換した時のことです。私の持っていた携帯電話(当時はガラ携)は全て本部の受付で預かられ(半ば没収状態)建物を出るまで受付で保管されていました。これは当時からイスラム過激派などが携帯電話を爆発物の点火用装置として使用していたことから爆弾テロ防止の観点もあったのでしょうが、会話内容の録音防止という観点からなされた防諜的意味合いがあったことも見逃してはなりません。情報交換の場では、録音は許されず全て手書きでメモというのが鉄則でした。

5 これから私企業、役所を問わず求められるもの

 それは、CI(カウンター・インテリジェンス)のセンスではないでしょうか?ご自身の発言内容や会議の全容が部外に「ダダ漏れ」状態ではその組織の信用にも影響しますし、一旦失った信用は回復するには築き上げた時間の数倍を要することから、日頃から自らの脇をしっかりと締めると共に、内通者のやりたい放題にさせないためにもしっかりと対応策を考えてゆくことが重要ではないでしょうか? 「備えあれば憂いなし」「悲観的に準備して楽観的に行動する」

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