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学生時代に経験した人生初めてのバイト(完結編)

(前回からのつづき)

 本稿を初めてお読みくださった方のために前回のストーリーリンクを貼っておきます。

 https://note.com/hanky6602/n/n39e50bc717c0

 真鍋さんという大学の大先輩から折角紹介してもらった韓国クラブでの夜のアルバイト。バイト代は確かに高額だが午後4時出勤、終業は翌日の午前3時過ぎ、昼間は睡眠という夜昼完璧逆転の生活リズムがオレの身体と精神を蝕み始めた。「オレ一体今何をやってるんだろう?学生の本分に悖りはしないか?」という自責の念と良心の呵責にオレは少しずつ苛まれだした。

 1 「学生気分」を地でいったオレの顛末

  真鍋さんには本当に感謝以外の気持ちはなかった。オレの自立を後押ししてくれ、クラブのオーナーにわざわざバイト口を設けるよう掛け合ってくれた。ここで辞めたら真鍋さんのメンツは丸つぶれ。かといって今の生活をずっと一生続けるのか?学業は?と考えると中途半端な気持ちでこのバイトを引き受けてしまった自分自身のいい加減さを悔い、腹立たしくさえあった。

  「普通の学生アルバイトと同様程度」としてクラブのアルバイトを舐めてかかっていたことは事実だったし本当に浅はかであった。自分が辞めることによってクラブ関係者、オーナーそして誰よりも紹介してくれた真鍋さんに多大なる迷惑を及ぼすことを当時のオレは「甘ちゃん」すぎて考えが及ばなかった。

 「人に迷惑をかける」「人を裏切る」「社会人としての責任」というのはこういうことなんだという現実を痛いほど感じ、突きつけられ、生まれて初めて思い知った。

2 真鍋さんとのその後

  韓国クラブを辞めてからというもの、真鍋さんのオレに対する態度は180度変わった。少しはまともな大人だと思ったと嫌味も言われ、真鍋さんと会うことすら憚られるようになり、お互いサークルの部室で会っても挨拶すらまともにしないくらい関係は冷え込んだ。真鍋さんが部室に来そうな曜日には部室に行くことを避けるようになり、次第に大学への足も遠のいてしまった。それから1年経ち、オレは大学を辞めることになったのであの時以来真鍋さんとは一切会っていない。今どこで何をされているのか?ご存命なのかどうかも。

3 このバイトを通じて得たものとは?

  学生のアルバイトには様々あれど、どの職種にも共通しているモラル、規範があるということをオレはこの韓国クラブのアルバイトを経験するまで恥ずかしい話全く考えていなかった。自分でつくづく自分の幼稚さに嫌気がさし、社会に対する考えの甘さを心の底から恥じた。逆にこのアルバイトを経験し失敗しなければ今の自分とは別のキャラクターとして人生を生きていたのかもしれないと感じている。

 最近では、就職した勤務先に「転職したい」「退職します」という言葉すら自分自身で言えない若者の代わりに代理で辞意表明をヘルプするニッチな業種まで現れるようになっているとか。

 翻って、あの時現実逃避せず相手にどう思われようとも覚悟のうえで自分の言葉で自分自身で相手にきちんと辞意を説明・表明できたことは、正面から困難にぶち当たっていくことの大切さを学ばせてもらった気がするとともに今の自分のライフスタイルにつながっているのではないかと思う今日この頃です。 

 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

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