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JFK 未だに根強い人気を誇る英雄

 米国ホワイトハウス(以下「WH」)は毎年公式のクリスマス・オーナメント(クリスマスの飾り)を発行するのが習わしですが、2020年はなんと1963年11月22日にテキサス州ダレスで暗殺されたJFK(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディー)がオーナメントのデザインに採用されました。しかもWHのクリスマス・オーナメントには通常モノやデザインのみであり人物のデザインが採用される例は殆ど皆無で過去にリンカーンのみが数回採用されているようです。

 https://store.jfklibrary.org/official-2020-jfk-white-house-christmas-ornament.html?gclid=CjwKCAjwwqaGBhBKEiwAMk-FtGB67HPuy_f5-3Yg9aavvUGWf51mlJZm_o9gUXjruofv8KEDclYTbxoCEcQQAvD_BwE

1 何故今ケネディー?

  上記のとおり、リンカーンは1999年、2001年、2009年の3回にわたり異例ともいえる人物そのものをオーナメントのデザインに採用しているようですが、何故いま1963年に暗殺されたJFKなのか?

  考えられる理由の一つとして、オーナメントが制作される背景があります。昨年は米大統領選が行われた年であり、当時は「分断」等が声高に叫ばれ50州の州民(国民)を再びユナイトさせる一つのきっかけを米行政当局は模索したのではないかと思われます。その一つとして挙げられたのが1963年に暗殺された「過去の人」ではあるが未だに米国民の心に根強い人気を誇る歴史的なヒーロー、JFKだったのでは?

  今回発行されたWHの2020年クリスマス・オーナメントはJFKの笑顔などではなく、苦悩し悩み苦しむ姿のポートレートが題材になっています。これはいまでもWHに飾られているもので、恐らくJFKが「キューバ危機」の際に進むべきか退却すべきか苦悩していた時の姿を描いたものではないかと言われています。それは2020年の時代背景と重なり、その意味においてもこのオーナメントは意味があることを示唆しているように思えてなりません。

2 ケネディーの墓

  JFKのお墓は、バージニア州のアーリントン墓地内の一等地的な、他のお墓が見下ろせるようなやや高台に位置する場所にあります。お墓といっても墓石があるわけではなく平らな石の中央部にトーチが設えてある一見変わったお墓です。トーチには永遠の炎が燃えています。これはJFKの情熱が今も燃えているという意味合いだとか。

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 ちょっと見では、お墓かどうか?また、JFKのお墓なのか見過ごしてしまいそうな、質素かつ重み・深みのある芸術的なお墓ですね。アーリントン墓地は一種の観光地になっていますが、訪れた観光客はほぼ全員このJFKのお墓を訪れます。

3 ケネディーの墓碑銘について

  このお墓の真後ろに表題写真の墓碑銘が位置します。この墓碑銘にはJFKが大統領就任式で述べた超有名な一節「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country(国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何が出来るのかを問うて欲しい)」が彫り込まれています。どこの国にでも、いつの時代にもマッチするような至極当たり前の内容ではありますが1960年代の米国民はこの演説に熱狂したようです。

 実は、上記の超有名な一節のあとに意義深い一節があることをご存知でしょうか?JFKはこう続けています。

 「 My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.(世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由 のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。)」

 今聞いても胸が熱くなるような名文ですよね。雄弁家であったJFKの演説でも就任演説のこの一節だけに着目しても彼が如何に時代を超越してもなお米国民のみならず世界中の支持者を魅了し続けるのか、その理由があるような気がします。 

  

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