警察よもやま話(ノルマってあるの?)
『警察を30年間やってました』と言うと必ずといっていいほど
「警察にはノルマがあるんですか?」「交通の反則金は予め目標金額が決められて警察官の給与やボーナスになるんですか?」
と聞かれます。
1 まずは
この話の主役である、制服警察官について少々。
交番・駐在所やパトロールなどで皆さんが街頭でよく見かける地域警察官と呼ばれる制服のお巡りさんは、3交代制(特別な時期は2交代制)で勤務しています。1ヶ月を「当務」10日、「非番」勤務10日、「休み」8ー10日というサイクルで回します。当務は24時間勤務、非番は当務で扱った事案処理、休みは、、休みですね。10日も休んで良いなーと思われがちですが、民間企業でも原則週休二日ですから最低月8日はお休みですよね。お巡りさんも同じです。
「ひと月の間で勤務が10日で後は20日休みじゃん」という声が聞こえてきそうですが、実際はそうではありません。一人の警察官が扱う業務量は勤務する交番の場所や事案の発生状況などによって異なりますが結構な分量があります。因みに非番勤務では眠い目をこすりながら前日の当務(24時間勤務)で扱った事案処理(書類作成や実況見分など)で半日またはほぼ終日費やすなんてことも多々ありますので、身体的・精神的にも結構ハードです。
現在テレビ放映されている「ハコズメ」という女性警察官のドラマが結構話題になっているようですが、ああいうユルイ勤務では無いことは確かです。
2 警察にノルマはあるのか?
では、冒頭の質問に対する答えです。答えは、イエス&ノーです。「は?なんじゃそれ」と言われそうですがどちらも正解なのです。それは次の理由からです。
警察には「月間」と呼ばれる一定のテーマを柱に据えた集中取締り期間(※)を年に10回以上行う時期がありますが、その月間中には現場の所轄警察官が集中的に当該業務に従事します。
月間の設定は主管課が行いますが実行する側の制服警察官は公共の安全という職責のため、或いは各自が自分の納得のいく仕事をしたいと願い自主的かつ真剣に取組むので、その姿があたかもノルマを与えられて頑張っているように見えるのでしょうか。
※「悪質交通犯検挙月間」「覚せい剤事犯検挙強化月間」「知能犯取締月間」「盗犯検挙月間」「特別法犯検挙月間」「少年福祉犯取締月間」「不法就労・不法滞在検挙月間」「暴力団取締月間」などなど
他方で、この月間に対する取組み姿勢は十人十色であって月間そのものに全く興味を示さずやる気も無い、「笛吹けど踊らず」的な唯我独尊警察官も存在していることは事実ですので冒頭の回答となっているわけです。
警察官は公務員=仕事を本気でやっても、やらなくても給料や賞与は同じ
と考えている不埒な輩もいることは確かです。
3 交通反則金は、予め目標額が設定されているの?
答えはノーです。上記のノルマと関連する話です。巷では「お巡りさん一人一人にいくらとノルマ(目標金額)が課せられている」などといった話が実しやかに囁かれているようですが。。。
納付された反則金は、まず国(国庫)に納められ、交通安全対策特別交付金として、毎年、交通事故の発生件数や人口の集中度などを考慮して都道府県や市区町村に交付されています。この交付金は、「交通安全対策特別交付金に関する政令」に基づき、信号機、道路標識、道路標示、歩道、ガードレール、横断歩道など、道路における安全施設の設置と管理等に要する責用に充てられ、目的外使用はできないことになっています。
たまに、「警察官の給与や賞与に充てられているのでは…」と疑う方がいますが、そのようなことはありません。警察官の給与、賞与は国庫金ではなく県税で賄われています。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。次回もお楽しみに。
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