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オブリ研第4回 : ”The Autumn Leaves”(2)

 1:曲について
 2:Mさん(tb), Fさん(tb)作例 ←Now
 3:Oさん(tb), 私(tb)作例

Index


では実際にオブリガートの作例研究です。
参加者 Mさん、Fさん、Oさん、私(半熟)
(2021年9月ごろオンラインで開催されました)

Mさん作

Fig.1."The Autumn Leaves" Mさん作(F Clef)

そっけないくらいの譜面ですが、オブリ譜としてはめちゃ実践的かも。
セッションにはこれくらいシンプルで余白ある方がやりやすい。メロディーの吹き方に応じてオブリも変えられるし。
トロンボーン的にも音高がちょうどいい。万人向きでいいですね。

気になるところ。3・4段目のオブリの頭の音が、メロディーの最後の音と同じ。ボーカルは少し歌いにくいかも?と思いました。EbをあげてF、かさげてDにでもいいかなあと思いました(音形とインターバルからすればDに一票)
オブリのピークは6段目。メロが補強されるアイデアは悪くないのですが6段目1〜2小節目はメロディにかなり重なって結構ぶつかる。少し音価をずらしてハモるか、あっさりカットして6段目2小節目後半から吹くか。
7−8段目のCメロは若干音数が寂しいかな、と思いましたが、その場の気分で足せばよろしい。

初学の段階では、主旋律の音は「地雷」だから「うっかり踏むと死ぬ」くらいに思ってもいいかもしれない(もちろんユニゾンとか確信犯的に踏むのはOKですよ)。

オブリ譜はあくまで計画。テーマのように正解があるもんじゃないです。その意味ですこし余白のあるこのオブリ譜は実践的です。
スピーチ原稿で一字一句書いた草稿ではなく要点だけ記した箇条書きの方が話しやすい、みたいな感じ。オブリガートかくあるべし。

Fさん作

四国で頑張っておられるFさんの作品。
Fさんはインダービネンというちょうかっこいい楽器を操る女傑です。

Fig.2a “the Autumn Leaves” Fさん作(F clef)

Fさんはご自身でも解説を書いてくださっているので、それも掲載しておきましょう。意図をこのように言語化するのも、大事ですね。

Fig.2b 解説コメント

Fさんは演奏動画もとっています(巻末)では少しコメントを。

Fig. 2c 3-4段目

3段目、4段目ですが、
4段目1小節目4拍め。半拍アプローチですが、基本的に表拍にコードトーンをいれるのが原則なので、Ebを表にもってくるべきです。どちらも半拍前に移動し3ウラから始めて4ウラからタイで2小節目につなげた方がいいかも。そうだとすると遡って3段目は同じリズムで、C-B-Bb-Aとしてもいいかも。(好みの問題)。

Fig.2d 5-6段目

Bメロに関しては、盛り上げを作る意図はとてもいいですよね。
コードの音で無理なく作っていますよね。ただ強調する繰り返しが音形として低めでやや目立ちにくい?スピーチで言うと「カギカッコ」を付けたような置き方があってもいいかも(ということで修正案としては音高を上げてみました。ただ、ちょっとわざとらしくなります)
また、5段目の4小節目は私なら B-Ab-G-Dとフレージングするかなあ。
6段目頭Cmの前のコードとしてG7-9を想定してフレージング。
アドリブでも、2,5,8段目の4小節目で使うアプローチです。

同じフレーズ繰り返しという考えはいいと思います。
6段目の後半がピークポイントで、クレッシェンドしやすいフレーズですね。音もここが一番高い。このへんは吹きやすいし、ということは心も乗せやすいということになります。

Fig.2e 7-8段目

7段目の後半は、トロンボーンの実践派らしいリアルなフレーズですね。リップスラーを利用しているフレーズで見た目ほど難しくはない。
理論的に補足すれば、黒本ではここのコードは「Gm-Gb7-Fm-Bb」。
それをGm-F#m7-Fm-Emと読み替えそれぞれ平行調メジャートライアドのBb-A-Ab-Gを意識して吹く、とそういうことになります。
あ、7段頭のEbはメロと被ってますが、ギリギリありか。
8段目はそんなに低いロングトーン要る?とは思ったので、ちょっと音をあげることを提案しました。
(単に僕はその音だったらうまく吹けないだけで、動画で吹いてもらった作例では、ベースと同じ音域できちんと音がでていて存在感がありました。巻末参照)

Fさんコメント:これアドリブのときやると周りが「オオッ」てリアクションしてくれることが多いのでいざという時に出すのがオススメです笑
もともとは昔からウォームアップでテキトーにやってたリップスラーのフレーズです。

みなさん、各地域でソリストとしてがんばっておられるので、こういうトロンボーンらしいリックをきちんと技としてもっている素晴らしいです。
最近僕はピアノさわってばかりで、こういうトロンボーンらしさから逸脱しているので、むしろ少し反省しました。

というわけで修正案です。

Fig.2f "The Autumn Leaves” Fさん作 take.2 (F Clef)

前後のフレーズのつながりとかから音の高さをちょっと調整した程度で、基本的によくできていると思います。こんなみんな完成度高かったら、あんまり修正案も出る余地ないんだよな…(笑)

続きます。

資料:

ここから先、有料にしていますが、上記完成譜のト音記号バージョンを置いておきます。(動画はまだですが、動画作ったらここにあげます)

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