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オブリ研第3回 : "Just Friends"(2)

1: J.J.Johnsonのテイク 
2:作例Mさん(tb)私(tb)  ←Now

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レジェンドの演奏のあと作例を示すのも恐縮ですが…
今回は 地元のトロンボーン友達Mさんと私の作品です。
私は二つ作りました(気負いすぎ)
※ ト音とへ音が混在しているので、準備でき次第巻末に併記することにします。

半熟作(うすめバージョン)

それでは私の作例です。
まずはややあっさり目のこれから。

Fig1. "Just Friends" 半熟 take.1 (F clef)

うすめです。まあ総論どおりに素直につくっています。
3段目までほぼさぼっており(サボるっていうな)そこからじわっと音数を増やす形にしています。これも定石通り。
4段目3-4小節は、Ab-Gb-F-Eb-Dbと一拍半ずつのフレーズ。なんとなくですが、ビッグバンドっぽい打ち込みサウンドを想像しながら書きました。Cm7-F7のF7をFaug7と想定してWhole Toneと考えてます。

が、ビッグバンドの譜面のように一つ一つの音にブロックコードを想定してもいいでしょう。その場合Db7-Gb7-G7-9-Cm7-Faug7でどうでしょうか?
セッションでは当然不可能ですが、リズムセクションとネタ繰りをする時間があれば、このコードで、ドラム・ピアノなどもこのリズムに合わせてやってみたら面白いかもしれません。

5-6段目は前回あげたJ.J.に似た感じ。同じ音型のモチーフを動かしています。Just Friendsの1-2段目のコードワークはそもそも美しい流れなので、それをいかすとどうしてもそんな感じのパターンになっちゃいますよね(笑)
7段目はややたたみかけるフレーズ二連で、じわっと音をあげて(多分ボリュームも少しあげる感じになります)あ、7段目3小節目頭はタイでつないでください。
8段目は4段目にだしていた一拍半フレーズをもう一度だして、共通感をだしています。(もちろん解決なので音は変えています)

Mさん作

Fig.2a "Just Friends" Mさん作 take.1 (G clef)
(Mさんの手による譜面ではありますが、私の手でリライトさせていただきました)

(Mさん作例に対して私が講評しています)

冒頭で1-2小節目休んでいるのはいいですね。そっと入るのは定石です。
3-4小節目:3小節目はBbm7のコードなので、構成音にそって直した方がよさそうです。それから4小節目に関しては譜面の書き方があまりよくありません。
ジャズの場合、表拍・裏拍が複雑な譜面が多いと思います。シンコペーションを記載する際の原則として、小節の中を二拍ずつわけて記載すると読譜が楽です。後半の3拍目の頭は休符であれ音符であれ必ず記載し、その2拍目〜3拍目を超える音符についてはタイでつなげることを心がけてください。
8小節目も同様です。ただしこの形(1裏からウラウラのシンコペーションが続くやつ)だけはビッグバンドの譜面で時々みますね。視認性が悪いので僕は大抵3拍頭でタイでつなぐ形をとります。
7~8小節目もスケールからいうと若干はまっていないので、少し変更しましょう(G→Gb、D→Db ※誤記載だったらしいです)

作例の印象としては、全体的にオブリガートというよりはアドリブソロのラインという雰囲気がします。
ソロでも実はそうなのですが、オブリガートはできればモチーフの繰り返しを心がけてください。あとはスペースを十分とること。

というわけで、少し修正してみました。

Fig.2b "Just Friends" Mさん作 take.2(半熟修正版)(G Clef)

端的にいえば、間引いてます。
1段目と2段目はコードトーンにあわせて音を修正しやや音数を減らしました。フレーズも対応するものにして整えました。
3段目もアドリブっぽいフレーズを断片化し、テーマメロディのデッドポイントに動くところに限定しました。
3段目3小節目頭や4小節頭の伸ばしの音はテーマメロディーと三度でハモるようにしています。
5段目以降は完全にソロっぽくなっていたので5段目は1段目の派生系(上下行が逆で少しDetailが増えた)のフレーズに書き換えました。6段目も同様に処理しています。1→2段目の後半はコード進行もBbm7Eb7→Abm7Db7と全音下降してますから平行移動して整合性がとるのが聴く側としてもうるさくないです。
7段目は比較的アドリブソロっぽい雰囲気を残しつつ、8段目は完全にドラムバッキングやビッグバンドの打ち込み系のサウンドにしています。ここでは、対旋律というパートナーの立場からバックサウンドの立場に少し下がっているような感じ。オブリガートに悩む場合は、ビッグバンドの打ち込みサウンド風に逃げるというのは、よくやる選択肢です。

半熟作その2(こいめバージョン)

私ももう一例作ってみました。少し音数が多いバージョンです。

Fig.3 "Just Friends" 半熟 take.2 (G clef)

これは割とねっとりと絡むタイプ。
音もわりと高い。

それでも前半は、休符をいかして、訥々とした感じで、弱目に入っています。
1・2段目は奇数小節に重心をおいて、3・4段目は偶数小節に重心をおいて、少し変化をだしています。4段目4小節目はCではなくDです(ちょっと読みにくいですね、すみません。まあ、Cでもいいんですけど)

後半は、
多分これビッグバンドの有名アレンジのフレーズをそのままつかわせてもらっています。(出典なんだっけ?)
6段目から7段目は、少したたみかける打ち込み系のバッキングです。
吹く場合はこの3つのフレーズを軽くクレッシェンドしてやるといいのかも。ま、音高的にもここがピークですね。

まとめ

  • オブリガートを作る、となると、多くの人はアドリブソロの延長線上に作りがちです。もちろんある意味ではそうなんですけれど、テーマメロディーのモチーフ展開やコード進行を踏まえる必要があります。

  • テーマの「対旋律」なので、譜面にすると、ややスカスカな印象をうけると思います。今回の作例はむしろ頑張った方で、もっと間引いてもいいかもしれません。

  • もちろん、ジャムセッションなどでこれを展開する場合は多少乱れても問題ありません。テーマと違って「正解」はみんなの前に見えているわけではありませんから。あまり気負わずに。

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