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「使ってはいけない音」「使える音」について

「ジャズ研1年」向けの記事です。

アドリブの時に「使っていい音」「使える音」がわからない、という意見をよくききます。

以前別ブログで長々と書いた記事を参考にしてほしいが、長過ぎるし精神論っぽい感じにも聞こえる(反省)。
結論をまとめます。


まとめると

  • コードトーンにない音が間違いではない(そのコードで利用できるスケール内であれば問題ないし、テンションといわれる音使いのバリエーションを含めるとNGな音は驚くほど少ない)。

  • 究極をいえば任意の場所において「使っていけない音」はない。ただし、フレージングや前後のつながりで「間違っているように聞こえる音」はある。「文脈」が大事です。

具体例


フロント楽器のソロでもうすこし実践的な話。

  • もっとも注意すべきは11thです。例えばF△7でBbの音。スケール・調性の中の音ですが(いわゆるアヴォイド・ノート)これが一番「しまった!」感あります。ちなみにマーク・レヴィンさんはアヴォイド=「避ける音」ではなく「慎重に使うべき音」と表現してた。この音は、まるで真夏の浜辺を裸足で歩くがごとく、すばやく走り去るならOK。立ち止まったら火傷します。この音を「解決音」にすると間違った感じに聞こえちゃう。

  • マイナーコード(例えばCm7)においてMajor 3rdの音(E)の音は比較的「間違い」に聞こえる。ただしCm7-F7をSecondory Dominantの手法でC7-F7として吹くなどリハモしてフレージングに取り込むことは可能。

  • 不思議なことにその反対、メジャーコード(例えばC7)においてMinor 3rdの音(Eb)は間違いには聞こえない。Blue Noteとして考えてもいいしC7+9のテンションとして頭が処理できるからかもしれない。

繰り返します。
一年生の「間違った音」として圧倒的に多いのは、この曲は「調性がFのキーだからFのドレミファソラシドが使えるよ」といわれて、Fのドレミファソラシドで吹いている時に、Bb(ファ)の音を置きにいく(前述の11th)のパターン。
トロンボーンの場合速いフレージングができないので、どうしても「音を置きにいく」局面が増えるので「Avoidで火傷」問題が起こりやすい(ジョイマンか)

その場合「ドレミファソラシド」よりドレミソラド、つまりペンタトニックの練習がいいかもしれない。特に(例えばFのキーで)Tonic(=FΔ7)のところでファ(Bb)の音は置けない(通り過ぎるのはOK)ことには注意しましょう。
ただギター小僧のように、ペンタトニックでフレージングしてもトロンボーンではダサダサになりがち。スピードが出ないから。あくまでアドリブの素養としてのトレーニングです。

あとは、まあまあ転調が曲の魅力なのに、もとの調性のままでアドリフしちゃうパターンね。厳密に聴けばそこまでNGな音ではないけど、聴いてて「あーあ」って感じになっちゃいます。

結論

文法を知っているだけではジャズっぽいフレージングになりません。「使える音」「使えない音」には、そういう頭でっかち感がぬぐえない。
頭よりも耳を鍛えましょう。
ブロークン・イングリッシュでもどんどんコミュニケーションした方がいい。

そうして「現場」で耳を養いましょう。耳が肥えて初めて「変なフレージング」が気になる(時にはちょっと死にたくなっちゃう)と思いますが、耳が養われるまでは頭でわかっても残念な音を使っちゃう。

もちろん理数系の頭を利用して、自分の録音を解析して、どこがおかしいかと考えるには文法=理論は役立ちますけどね。

小説家の卵に対しては「日本語文法」つまり文章の良い悪いを論じるよりもなりたい小説家の「文体研究」のほうが役立ちますよという話。

好きなミュージシャンのトランスクライブ(耳コピ)を行い、それに近づけていく作業が、よいミュージシャンになるためには絶対に必要です。


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