リュックを背負ってちょっとした旅に出る
最近、リュックを背負って日帰りひとり旅に出ることにハマった。週末が1日空きそうな週は、週初めに予算と目的を決め、週半ばで叶う場所を探し、週後半で電車とバス、ごはん処など細かいところを仕事の合間や通勤時に猛烈な勢いで検索をかける。ここで大事な自分なりの旅の掟が、リュックで旅に出るということと、リュックの横ポケットにペットボトルではなく麦茶の入った水筒を差すこと、山・川・海のどれかを眺められる場所を選ぶという3点。日帰りとはいえ、冒険感は欠かせない。
この夏は神奈川の山の上のほうにポツンとある旅館の温泉に旅をしてきた。最近は日帰りプランがある旅館が多くて大変有難い。山の上の温泉に行くと決めてから、amazonで山暮らしをしている人達のドキュメンタリー集のような本(山と渓谷社の「山の仕事、山の暮らし」、この本とっても良かった)を買い、少ないバスの時間をしっかり調べ、おやつ昆布を買って(スナック菓子でもいいのだけれど、ここは雰囲気を大事にしたく)、ふかふかのバスタオルと小さなタオル2枚をリュックに詰めたりと、準備時間もワクワクと過ごした。
自宅から1時間半くらい電車に揺られて、目的地の最寄りの駅のバス停に着くと、同じようにリュックを背負った男性が2人先に並んでいた。「あら、あなたもミニ冒険家さんですね。」と心の中で思いながら(人見知りなので、ひっそりと思うだけ)、バスの後ろのほうに座って、そこから30分位バスに揺られた。
バスが終点に着き、降りるとそこは山の麓で、ぽつぽつと大きな農家の家がいくつかあり、上に気持ちよくのびた山道がとってもよい雰囲気を醸し出していた。帽子をかぶりなおして、水筒から麦茶を飲み、木々の生い茂った山道を登っていくと、目の前にポツンと山荘のようないで立ちの旅館が登場。「ほわー。」「ほうー。」と声を出しながら色んな角度からまずは建物を眺める(周りに誰もいないので、声、出し放題)。
引き戸を開けると、優しい旅館の方が出迎えてくれて、雰囲気満点の鹿のはく製を横目に見ながら部屋に通して頂く。旅館の感じを味わうべく、温かいお茶を入れて再度水分補給をして、いざ温泉へ。こぢんまりとした温泉は内湯と露天風呂があり、内湯でゆっくりしてから、外気を浴びながら露天風呂にゆっくりと浸かった。普段の旅行でこんなにゆっくり温泉に入ったことないな、というくらい、本当にゆっくりと浸かった。これもまた、ひとり旅の醍醐味。
湯からあがって、部屋に戻って暫くするとお昼ごはんの時間。じっくり焼かれた川魚と夏野菜たっぷりの優しい味の料理と、ほくほくのおいしい炊き立てごはんを味わう。ごはんを戴くことに全集中できるので、より美味しいっていうのも、これもまたまた、ひとり旅の醍醐味。
ごはんを食べ終わって、畳にゴロンとして、夏のおばあちゃん家のような雰囲気を存分に味わってから、帰路へ。夏をしっかり、ゆったり味わえた良い過ごし方ができた。次はどこを旅しようかな。
(訪れた宿:七沢にある、かぶと湯温泉山水楼さん)