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また進む。

2019年の11月末にひっそりオープンした「一坪の店」、ハニホ堂。

今年(2021年)の11月末を目処に閉めることにしました(都合により閉める時期が多少前後するかもしれません)。

お店といっても、奥の部屋で仕事しながら週に二度ほど表にのれんをかけて、わずかな土間スペースを開放していただけなので、そんな大した話じゃないのですが…

お店を開くまでのことと、開いてからのアレコレは、noteにも何度か書いてきて、様々な出来事に心動かされたものですが、ただ、新しい土地でお店をしながら仕事をする暮らしを始めて半年もしないうちにマスク生活、外出・外食自粛などの世の中に突入してしまったこともあって、正直言って、あまり「ちゃんと」というか「どっぷり」この土地に浸かるというか体感しないまま、なんだか万事「(仮)状態」で今日まで過ごしてきてしまったような気もしますが…

予定ではあと二年ほどここで過ごすつもりだったのだけど、身内が病気になり、いざというときに手助けできる距離にいたいと思い(感染症の終息が見通せず、往来も難しくなっているため)、じゃぁスパッと引っ越すかぁ、となりました。

スーパーの行き帰りに猫や鹿に出会えて、お地蔵さんや感じのいいお店が点在するこの土地を、山の緑が美しく大樹を見上げると空が広くて、いつも外に出ると気持ちが晴れ晴れするようなこの街を、そして「さりげなく優しく接してしてくれる」人たち、個性的で気持ちの良い人たち、お店を楽しんでくれる方々を私は気に入っていて、ここでの暮らしができる幸運にいつも感謝していて、あまりに恵まれすぎていることから、「いつどんな事情で突然終わりが来てここを去ることになってもおかしくない」と覚悟していたけれど、やはり「その時」はきました。

麻雀でもトランプでも勝ち続けると怖くなって、もうそろそろ負けてもいいのにと、つい思ってしまうというか。信号でも青が続いてうまくいきすぎているとちょっと不安になるというか。

そんなわけで、少し残念ですが、自分には身に余る環境での平穏な日々がいつしか日常になり、当たり前だと思ってさらにそれを退屈に思ったり些細なことを不満に思うなど、どこか増長したところもあったと自覚しているので、一旦区切りをつけて、仕切り直すのもいい経験かなと。

なんといっても実家から1時間程度なのでまた来られるのだし、家族もこの街が好きなので、将来的にじっくりここで暮らすことだって可能だろうから、まぁ例えるなら、「この間来たばかりの転校生が思ったより早めにまた家庭の事情で転校してゆくらしいよ…」てな他人事の気分で、この転機を俯瞰したいものです。

今度引っ越す先には遊び仲間や飲み友達、仕事関係の知り合いも兄や仲の良い従姉もいて、考えてみればまた新たな生活を始めるというより、親の介護をするために関西に戻ってきた、それ以前の暮らしに戻るような感じかもしれない。

さて、今度はどんな仕事場を借りて、どんな風に暮らそうかと、また人生すごろくのマス目が増えたような気分です。

今の場所でのお店は閉めても、また新たな土地でイベント出店や実店舗になるかはともかく、『ハニホ堂』での創作発表はゆるく続けようと思っていますし、地元の関西と関東を行き来しながら活動したいです。活動っていうか歯科医院に通ったり墓参りしたり、宝塚大劇場に行く程度かもしれないけど(笑)

それから、昔関東で暮らし始めた時に、あんまりにも仕事が来なくて不安が募って暇を埋めるために毎日ブログに載せていた「はにほさん4コマ漫画」を、来年元旦からまた毎日連載したいなと思っています。ちょっと大変だけど、何か継続することを新たに始めるのって、身が引き締まるというか、気分が若返るようでいい感じ。

自分には肩書き一つにしても、世間や知り合いに対して何も誇れるものはないんですが、ただ、いざというときに引越しに関してフットワークが結構軽いということだけは、こんな仕事をしている自分で良かったと思います。自分自身の欲望ではなく、誰かのために自分でこうしたい、こうしようと考えを決めたら即実行する、そんな決断ができることは、「自由がありすぎて、好きな場所に住めるからとあちこち探して、でも物件がなくてとても焦っていた2019年の自分」を思うと、人は自分の好きなように生きることよりも、誰かのために行動を決める方が、より迷いがなくシンプルだなと気づかされます。

出不精なのと体力等の関係で動きがとにかく緩慢なので、決意表明をして逃げ道を塞いでからにせねば、と早めにこうして宣言してみました。

実は今回の閉店云々以前から予定していたことですが、11月のどこかで4〜5日間ほど表の3畳スペースを使って展示会と、いつもより少し値引きした在庫販売をしたいと思っています。詳細は10月ごろにお店のホームページの「お知らせ」ページやTwitterなどで告知します。

お渡しは展示会、または閉店後になりますが、画像のショーケースを直接店まで引き取りに来てくださる方がいたら無料でお譲りしたいと思います。サイズ的な詳細情報はご用意してませんのでお店に来られて実際見てご希望があればという感じで…

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あれこれ書きましたが、一度住んだ街は、心の故郷としてその後も訪れることにしているので今後も行き来するし、店を閉めてもしばらく住民としてここにいて、一定期間は二拠点生活になる可能性もあるのですが、ただ「店主」として知ってくださっている方にとっては、ある日突然の「消滅」になっちゃうのかなと。なので、店主の礼儀としてのご挨拶にもなればと思います。

今までもこれからも、あまりお店を開けないのでご不便をおかけしますが、それでも何度かお店を利用してくださっている方や、こんなお店を好んで通ってくださる方、いつか一度行ってみようかなと思ってくださっている方には、少しでも早く情報が届いた方がいいかな…とお知らせしました。

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気がついてみれば、8月もそろそろ後半。1日1日大切に、けれども自分のペースで、焦らず騒がず「のほほん」と暮らしたいです。

【おまけ】ヘッダーの絵は、引越しのたびに業者さんに嫌われた大きなソファの変遷です。すぐ汚してしまい、それもクリーニングで落ちないシミをつけてしまう。付け替え可能なカバーは4万円ほどするので、今までクリーニングでやり過ごし、一度だけしかカバーを買い直していない。そして今…シミと凹みに今後も付き合うか迷い中です。

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凹んでいるのはD(向かって右)>D(向かって左)B>Aです。もう全体がヘタってますけどね。結構な年月を共にしたので別れがたいものです。

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