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赤い週末。

段ボールや紙の束で雑然としている部屋のあちこちに、赤いものを置いています。分量で言うと部屋全体の2割くらい。大きな面積を占める布はベージュやグリーン系だけど、赤のラインが入ったリネンやタータンチェックのトランク、真っ赤なウールのストール、赤べこやこけし、だるまに小ぶりの凧など、赤いものがあると、なんとなく全体を人懐っこく、可愛くあたたかく見せてくれている気がして良いのです。赤には人情味があるというか。
赤いフェラーリや赤いハイヒールは遠い存在だけど、小さな鉛筆削りになった赤いワゴン車や模様編みの赤い靴下は身近に思えて大好き。どうやら自分の中では苦手な赤と「赤いな」と思う記号としての赤と、ときめいたり頼りになる赤とがあるようです。

部屋の中にある赤いものたちの一部。

赤を愛でるなら冬。ということで今日は赤の面積バランスに留意しながら赤いものコレクションを載せてみます。

まず、2023年3月、新幹線の中で食べたエビカツサンドの紙箱に貼られていたエビの封シールが可愛くて手持ちのノートに貼って保管していまして、それがこちら。

紀伊國屋エビカツサンドのシール

ブルー系と組み合わせた赤も結構好きで。昨年(2023)ハチ公生誕100年記念のお菓子を友人(渋谷在住)からもらって、お家型の箱が可愛いので今も卓上ゴミ箱(消しカスや鉛筆を削ったり)として使っているのですが、今年に入ってまた渋谷発ハチ公お菓子(左)をいただいて。これまた素敵。

左:イルフェジュール・秋田ケーブルテレビ 右:ANTENOR

座布団カバーに使っているお気に入りの布(下左)と上左のHACHIチーズサブレの配色がよく似ていていい感じ。そしてお正月に観に行った映画『枯葉』(アキ・カウリスマキ監督)の素敵なポスターもブルー系×赤の組み合わせでした。

右:渋谷ユーロスペースにて

部屋から一歩外へ出ると世の中は赤いものであふれていて、コカコーラ社の自販機、信号の赤、消火栓の赤、ポストの赤、止まれの標識、お店のロゴや看板、提灯、車のブレーキランプなど本当に様々。それにしても、「あれは赤い」と思うだけのものと心を動かす(サンドイッチのエビシールをノートに貼って保管したくなるような)ものとの境目はどこなのだろう。
個人的に最もテンションが上がるのは、旅先などでバスや列車の中から目にする(渡れずに通り過ぎてしまう)赤い橋、あるいは眼前に迫る太鼓橋(大阪・住吉大社や太宰府天満宮の赤い橋)かもしれません。赤い前掛けのお地蔵さんも好きだし、下の画像の酒樽の中では鷹正宗のデザインが好み。

撮影場所:上段左から福島県相馬市、京都市岡崎エリア、福岡市博多区、下段左から同博多区、それ以降はすべて東京都世田谷区

いっぽう、何気ない風景の中で差し色として存在感を放つ赤を見つけると、興奮とまではいかなくても「おっ」「ふふっ」と思ったり。

下段中央のみ東京都清瀬市、それ以外は東京都世田谷区

縁起物の赤にも無条件でワクワクします。ただ、色鮮やかで形も絵柄も賑やかな分、目が泳いでしまい、買うとなると(どれかを選ぶのが)とても大変。

ショーウインドウの新春らしい展示に惹かれて立ち寄った世田谷代田の縁起物(本と郷土玩具)のお店。
中央のねずみ(&唐辛子)はツレが購入、私は『月のこよみ2024』(誠文堂新光社)を選びました。

その他の街歩きで目にした赤いものアレコレ。太陽の塔のお隣はグリコ本社の壁の赤いロゴを撮ったもの。右上は友達が頼んだショートケーキ。私はチーズケーキ注文率が8割強なので、目にも鮮やかなイチゴが眩しくて撮りました。

撮影場所:上段左から大阪府吹田市、大阪市西淀川区、東京都世田谷区、東京都中央区、2段目右から大阪市住吉区、宮城県仙台駅、自宅(購入したのは世田谷区)、下段はすべて東京都世田谷区

ウルトラマン像から徒歩5〜6分のところにウルトラセブンも居たのだけど、赤の面積が多くて「随分赤いなぁ、セブン。」と思ってしまうというか、やはりウルトラマンの色配分の方が好きだなと思ってここへは載せていません。
いったい自分にとって「ちょうどいい赤」「魅力的な赤」とはどんな塩梅なのか…
下の画像はお気に入りの展覧会のチラシ、グリコ本社に併設の江崎記念館で見学・撮影したおもちゃ、手持ちのレトロ雑貨の中でいい感じの赤いもの、を並べたものですが、自分はこういう「けなげな赤」とでも呼べばよいのか、小さな面積に少ない量のややくすんだ赤が使われているものが好きなのかもしれません。

とか言いながら、部屋の中で一箇所だけ、テレビ下の凸凹を隠すために大判の世界地図バンダナを使っている私。このバンダナ(下の画像右)が好きすぎて、昨年世界地図イラストを真似して描いたくらいです。赤の面積は大きいけれど、大陸がクリーム色で白い雲などもあって圧迫感が少ないせいかも。
いっぽう左は清水ミチコさんのライブ会場でもらってきた五月女ケイ子さんのチラシ。素晴らしいイラストだけど、背景の赤の圧が強いなと。好きだけど赤すぎると思い、迷った末に別のイラストのグッズを選び、でも好きなのでチラシだけ保存しているのです。何のこっちゃですが。
この赤すぎる赤の話を書いていて思い出したのですが、あるランドセルメーカーのサイトによると、近年女子に一番人気なのはパープル系、2番人気はピンク系、その次にサックス(水色)系、茶色、その次にようやく定番の赤、らしいです。赤の面積が多いとパステルカラー系の服に合わせづらいのか、あるいは昭和色が出すぎてしまうせいでしょうか。

同じ「あか」でも朱、習字の時に添削される時の朱墨汁(墨液)のような色味であればまた印象が随分違ってくるもので、手元にある中からいくつかレイアウトしたのがこちら。

左:ロシアの絵本(読めないのでタイトル不明)、カードサイズのカレンダー
左上から時計回りに:いせ辰、芹沢圭介美術館、ハニホ堂、大津絵(高橋和堂)、BEAU MONDE、Babaghuri、HATOBA&SUTOA

朱色といえば、大阪・阿倍野で約44年間続いた珈琲店『力雀』さん(かつては『雀』という店名だった)のメニューボードも素敵です。おそらく美術系高校か専門学校、または美大に通うお客さんが描いたもので看板猫のシルエットが素晴らしい。今回色が合うので紹介しましたが、この喫茶店に関してはこちらのマガジンにまとめています。

作者不明。珈琲店「雀」メニューボード。

さて、そろそろまとめモードへ入ります。部屋にあるものの赤の比率を示した下の画像をご覧ください。
強い赤が苦手な私だけど絶対忘れちゃいけない舞台のチケットや人に渡すチケット代(封筒)を入れる書類ホルダーは赤の分量90%の「目立ってナンボ」のものを使っているし、赤いフチどりがポイントのホーロー製バットはキッチンに清潔感をもたせてくれるし、カラフルなティッシュケースはグリーンの床に置いても畳の上でも映える配色がお気に入り。右の布は昔、自分が担当したブランドで自由に制作した柄で、たぶん本能的に好きな配色と赤の量です。
結論、生活の中で使うものの赤の分量は10〜40%くらいまでが使いやすい。が、「場合によっては何でもあり!」ってことかもしれません。

左のニワトリの箸置きは京都の立ち飲みダイニング「すいば」さんキャラクター、中央のティッシュカバーは福島県相馬市の福祉作業所もくもくさんのメンバーによる「さをり織」。

また創作の面で自分にとって赤はどの程度必要なものか、と考えると、たとえば昨年おにぎり柄のポストカードを作った時、色のアクセントが欲しくて梅干しの他にベレー帽に見立てたプチトマトを載せたおにぎりを入れたことからも、なんだかんだ私はいつも赤に頼っているようです。

左はアフリカ・アジアの子どもたちに給食を届ける「おにぎりアクション#onigiriAction」用に自作の絵に似たおにぎりを作ってSNSに載せた画像。右は赤いものを撮っていると知り友人が送ってくれた画像。

【1/29追記】
このnoteを公開した次の週末、郵便受けにブルーのチェックに赤いハートの封筒が届き、同柄の便箋に包まれたこのマッチが入っていました。赤いものをおすそ分けいただきありがとうございます!

このこけしが届いた翌日、街を散歩していてフライングタイガーの店頭でも赤いものを見つけました。「わっ」と思って撮ったもののガラス越しだったのでうまく収められなかったのですが、インパクトすごかったです。公式サイトによるとこちらはロブスターをメインにした「ラブ❤︎スター」シリーズだそうです。

左:撮影場所は二子玉川店/右は公式サイトのページのスクリーンキャプチャです。

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最後に。
昨年、世界地図イラストを描いた時、参考にした世界地図の絵本の索引ページを眺めていて、国旗に赤を使っている国の多さに気づきました。今回、何か情報ないかなと検索してみると、世界の国旗についてデータを集めて掲載しているFlagStoriesというサイトhttps://flagstories.co にこんな画像がありました。

出典:FlagStoriesより

掲載は国連加盟国に限られるようですが、「国旗に最も使われている色の組み合わせ」を表しています。上位5番目まで全てに含まれるのは赤だけなので、やっぱり赤の使用率が最も高いんだなと。
右端の配色が気になるのは、この数ヶ月SNSや独立系書店や雑貨店などで目にするパレスチナの旗(Free Palestine/Stop Genocide in GAZA/CeasefireNOWなどと書かれたプラカード、横断幕も含めて)に似ている国旗(スーダンやヨルダン)があるせいでした。
赤、白、緑、黒、の組み合わせに見覚えがあると思ったら、同じ配色のものがうちにありました。

大和出雲人形(天神さん)。裏面は赤・黒・白・緑の組み合わせで構成されている。

旧Twitter(X)のタイムライン上で現地の様子や国内外で停戦を訴える大勢の人によるデモやたった一人で何度も、一度に何時間もプラカードを掲げる方の画像や切実なメッセージが流れてきて、自分は署名や商品の不買を心がける以外は眺めているだけで。先日、知人宅でもA3用紙に印刷したらしきパレスチナの旗と文字(おそらくデモ参加用)を見て、ハッとしました。
赤いものの最後は、自分で作った旗を。

以上、赤い(ものを集めて考えた)週末でした。
これまでイエローピンクブルー、のコレクション(画像)を集めて載せていますので、お好きな色がもしあればそちらもどうぞ。
次はいつかグリーンコレクションができればと思っています。

【お詫び】
赤の圧がどうの、とか書いていたのに、トップ画像の赤いものイラストをギュッと詰め込んだ状態がかなり赤すぎて圧を与えるものになりました。自分で見ても「うるさい赤だなぁ」と思いますが。