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一坪のお店を開くまでと、その後の話。

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両親の介護を終え、その後どうしよう…と思いをめぐらせ、思い立った引越しと小商いの話。
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#お店

ありがとう以外の言葉で感謝を伝える試み。

自宅玄関の土間スペースで開いていた一坪雑貨店「ハニホ堂」は、11月に4日間展示会を行い、それから数日あけて最終営業日を迎えて無事に閉店した。 優柔不断な私にとって、大変だったのは会場の展示レイアウトだった。 「え〜っと、これは保留で、後で考えよ。こっちは〜、えっと適当に並べといて、後でやるわ。ここは、う〜ん、それは明日にでも私が考えるよ」などと虚ろな言葉を吐く私をよそに、仕事を休んで手伝いに来てくれた姉と甥(初日には名古屋から従妹も)は自己判断でテキパキやってくれた。 そ

終わりは次のはじまり。

お店を閉める月に入ったと思ったらもう一週間経過。 あと二週間したら閉店前の展示会期間に突入すると思うと、レイアウトや内容説明の看板や値付けなど、「色々やることあるなぁ」と焦る一方で、とても晴れやかで穏やかな気持ちになる。 私の一坪の店は、自分の作品を置く場所でもあったけれど、それ以前に実家の遺品整理で処分できなかったものと自分の仕事関係のサンプルや資料などを誰かにお分けするために設けた場でもあったので、例えば父が遺した杖や絵具、文具類、母の手芸用品や食器類、スカーフなど、

また進む。

2019年の11月末にひっそりオープンした「一坪の店」、ハニホ堂。 今年(2021年)の11月末を目処に閉めることにしました(都合により閉める時期が多少前後するかもしれません)。 お店といっても、奥の部屋で仕事しながら週に二度ほど表にのれんをかけて、わずかな土間スペースを開放していただけなので、そんな大した話じゃないのですが… お店を開くまでのことと、開いてからのアレコレは、noteにも何度か書いてきて、様々な出来事に心動かされたものですが、ただ、新しい土地でお店をしな

初心に戻る。

奥の部屋で仕事をしながら、玄関付近で一坪のお店をするようになってから一年半と少し。 お店というか、どちらかというと「古民家の土間で時々やっているガレージセール」って感じですが。 以前、京都の北野天満宮で毎月25日に開かれる市「天神さん」へ出掛けた時に、露店から結構離れた民家の玄関脇にもひっそり食器などが並べられ、寄せ集めの紙袋と貯金箱の横に置かれた厚紙に「どれでも50円」「こちらはご自由にどうぞ」などとあって、なんかいいいなぁと思ったことがあって。 ある一軒では本が入っ

趣味と人生。

前から少しずつやっていた、趣味の「いろはマッチくじ」作り。いろは順で、途中の「つねならむ」の「ら」まで(23種)は作って店でも展示しているものの、その後の制作を中断したまま、気づけばいくつか季節が変わっていました。 最近ようやく、続きの「む」から「ゑひもせす」までの残り分の表面デザインができて、全種類はこんな感じ。作者のお気に入りは猿と犬の「友達マッチ」と「天ぷらブランドマッチ」でしょうか。まぁ、別にどれも大して違いませんが。 裏面は、駄菓子屋さんで売っている『点取り占い

あの店主さんが無愛想な理由。

雑誌やネットなどでお店の商品や展示棚を見たり、スタッフブログや店主のインタビュー記事を見て、「いいなぁ」と思っていたお店へやっと出かけてみたら、「あれ…?こんなに無愛想な店だったんだ」と驚くことが多い。 メディアやSNS等を通じて一方的に親しみを覚えていた店の人が、ニコリともせず無表情でレジ対応をされて、会話どころか、こちらの顔を見ようともされないし、近寄りがたいオーラが… ずっと前、知人から外国の方を紹介されて、笑顔で握手を求めたら、無表情のまま、しぶしぶ(といった体で

ワクワクとうんざりはセットなのだ。

新しい町で暮らし始めて二ヶ月半、入り口の一坪スペースで小さなギャラリーショップを始めてもうすぐ一ヶ月になります。 基本的にお店部分は無人スペースで、肩幅半分ほど表の戸を開けている状態なので、 お客さんが入ってくると「ガラガラ…」という音がするか、肩を横にしてそっと入ってくる器用な方もおられて、そんな時は、ふいにお客さん同士の会話がしたり、お一人様の場合は本や古雑貨などを手に取っておられるらしき「カタン、コトッ」という音がしてようやく気づくのだけれど、呼ばれる(声をかけてく

お店、という創作活動。

劇的に、違うものなんだなぁ。 今までの引越しは、仲介業者さん経由で賃貸契約した部屋に住んで、周囲の店を開拓して図書館に通って、友人や身内が訪ねて来た時に案内するようなスポットも見つけて…でも結局は室内でずっとこもって1日も外に出ないことの方が多い生活で、数年経っても知り合いどころか顔見知りくらいしかできず、それも、よく行くお店の人と皮膚科と耳鼻科の先生だけ…というのが普通でした。 物件や住む町を探す際のポイントは今までだいたい、「家で仕事をするので住みやすい環境であること

「また来よう」、と「もう、来ないかも」。

お店って大変なんだなぁ、と、まだ開店していないけど実感しています。 新しい町で暮らし始めて一ヶ月。 準備は少しずつ進んでいて、今はこんな感じ(看板は下駄箱の余っていた棚板で制作)。ただ、自分の店の準備より、この町のお店を発掘・調査する方に今は重きを置いてしまっているかもしれません。 新しい町の地図を自分の頭と体にインプットするため、これまでいろんな道を歩いて、文具はここ、画材はここ、コーヒー豆は当面ここ、パンはどうしよう、はっ、こんなところにケーキ店が。などと発見しつつ

幸せな散歩を求めて。

夏の散歩は夕暮れ時に限る。 昼間、酷暑の中で目的もなくぶらぶら歩くことは危険だから、散歩好きの私も寄り道せず、目的地へ急ぐばかりだけれど、夕暮れ時は別。 夏の夕暮れの空は、何層かになったカラフルなジュースのようなグラデーションだったり、雲が奥行きを感じさせてくれて大きな空色のドームの下にいる気分になったり、四季の中でも格別だ。だけど油断して夜になったら、またぼんやりよそ見して歩くことなどできないから、ほんのわずかのハッピーアワーだ。 私の好きな散歩は、整備された並木道や