それだけのこと
足のネイルが剥げている。
不自然な剥げ方だったので触れてみたら、爪にヒビが入っていた。
何も考えずに引っ張ると、一部分だけぽろりと落ちていった。
爪はわたしの都合なんかおかまいなしで、不格好に剥がれ落ちてゆく。
妙な形の爪に残された赤いネイルが、なんだかひどく寂しそうに見えた。
そのことを、わたしは悲しく思う。
でもそれは一瞬の出来事で、思い切って爪を切ることにした。
濃い色のネイルを塗っているから、どこまで切っていいかわからないけれど、「爪が真っ直ぐになる所」までを狙って、切ってゆく。
切られた爪はまっすぐには戻ったけれど、剥げた部分は戻らない。
お気に入りの赤いネイルを取り出して、そっと乗せる。
ukaの赤でよかった。
優秀なネイルは、ムラになることはなく、さっと爪先を赤く、まとっていった。
まっすぐな爪が漏れなく真っ赤になって、すっかり元通り。
剥げた部分も欠けた部分もなくなって、明日には爪が欠けていたことだって忘れているだろう。
*
なんだ、こんなにかんたんなんだ、と安堵する。
直せないものがあるのと同じくらいかわからないけれど、
直せるものも、きっとある。
切りそろえられた爪に乗った赤を見て、わたしはうっとりする。
べつに、誰かに見せるわけじゃないけれど、赤い爪はわたしを勇敢にさせてくれる。
大丈夫だ。
爪は赤く勇ましく、きちんと整えられている。
きちんと、整えることができたのだ。
それだけのことなのだ。
それだけのことに守られて、今日は眠ろうと思っている。
ukaの赤は本当におすすめ。一度塗りでボトルと同じ色、ムラにならないのがほんとうにすごい!
わたしは3/1使ってます(ブルベです
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