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折り畳み傘

最初は、別に好きじゃなかったんだと思う。

そんなことより、
ふいに降る雨に悲しくなったり
コンビニで傘を買うのがもったいなかったり
そんな「嫌なこと」を排除してたどり着いたのが、折り畳み傘だった。

どうして、隣の駅でも天気があんなに違うんだろう、と疑問に思っていた。
山を越えるからだろうか。
ぎりぎり玄関の前で降っていなかった雨に、駅から出ると当たってしまう。
もちろん、意気揚々と傘をさして家を出たのに…という逆も多い。

晴れてるときの傘はまぬけな気がするし、
傘のないときの雨は絶望的に気持ちになる。
ユーミンがうたっていた「今日き限って、安いサンダルを履いてた」に似た気持ち。
あれは、そういうときに限って昔の恋人に会ってしまうはなしだった。

平穏な気持ちで菩薩みたいに生きるのがいい、とは思わない。
大いに、苦しいときも楽しいときも叫んだらいい。

でも、雨で叫んだり悲しくなったりするのはやめよう、と思った。

それから、折り畳み傘をいつも持っている。
折り畳み傘を持っているときに雨が降ると安心するし、
日傘というのはなんだかいい。
雨天兼用、というそのお得そうな言葉も、
「砂漠のステージは強制的にダメージを受けるが、このアイテムを装備していれば大丈夫!」みたいな、RPG感もたまらない。

やっぱり傘は好きなのかもしれない。
今になっても「昔、誕生日に傘くれたよね?」という友達が多い気がする。

あの、ほっとする感じを
憂鬱を打破するなにかを
わたしは君にわけたかったんだと思う。

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