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22時を灯して

わああっ、と声が聞こえた。

それは帰り道で、春で、ずいぶんあたたかな声だった。
季節が、わたしにそう思わせたのかもしれないけれど、あたたかい、と思ったことを覚えている。

声の出処を探したら、2階の中華屋だった。
ドアは開いていて、オレンジの光が灯っていた。

この町に引っ越して、3ヶ月。
こんなところに中華屋があるとは知らなかった。

それは、月曜日の22時の出来事だった。

ああ、月曜日なのに、
ああ、22時だからか、
ああ、こんなにも声は明るく、夜もあたたかい。

頬が、ほころぶ。
なぜだか、ほころぶ。
だいじょうぶだと、思う。
わたしも、世界も、きちんと
いま、灯っている。

理由がなくても大丈夫と思えた
明るい22時のことを、わたしはきっと忘れない。






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