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ともだちのはなし

DJの友達がいた。
彼のことを、時折思い出す

ライブハウスに勤めているとき、出会う人の大半はバンドマンだったが、一部違う人がいた。
同じ場所を使っているのに不思議だなあ、と思うが
ダンサーやボーカルスクールの発表会、ニコ動で活躍してる歌い手さんのオフ会、
しばらくして慣れたけど、使う言葉や当たり前が結構違って、異文化交流だなあと思っていた。

DJというのも異文化の中のひとつで、
生まれて初めてのDJの友達は、ライブハウス勤めを卒業したあとに出会った。
同じ職場で同い年、
わたしにとっては何かと縁のある人が多い、新潟出身の男だった。

同じ音楽を扱う身だから、いくつか共通の言語がわかり合えてほっとしたり、
それ以外にもなんだか、気の合う相手だった。

よく一緒に煙草を吸って話をした。
だいたいくだらない話で、
たまに音楽の話もした。

今日はこのあとDJやりにいく、だったか
いま準備しているだったか忘れてしまったが
この話のことは今でも覚えている。

彼が悩んでいたので、わたしは何も考えずこう言ったのだ。
「好きなことやればいーじゃん」

彼は煙草のけむりを吹いて、
「バンドマンはそうなんだよな」と言ったあと、このようなことを言った。

「DJは、客に求められることをするのが仕事だから」

がつんと衝撃、
純粋に驚いたことを覚えている。
確かな異文化交流だった。

DJの友達は彼だけだし、
わたしはもう、自分の好きなことしか弾きたくない、と割り切ってしまっているので、
なんだかとても極端な話をしているとは思う。
彼の発言はDJの代表ではないかもしれない、確かめる術はないし、代表じゃなくたっていい
お客さんによろこばれることをいちばんに、とか、ボーカルのうたを引き立たせるためとか、依頼を受けた内容通りとか、
そんな風にまじめに音楽をしているバンドマンもいるだろう。

わたしは今日も、
わたしの好きな音を探して、
そのまま誰かに届けようとしている。

嫌われてもいいと思っている
嫌われるのが怖いから、という気持ちで何かをするのは辞めた。

だからいま、愛されることは本当にしあわせだし、
できれば、うっかりわたしの音が必要な誰かに出会えたらいいと思っている。

今日はスガシカオのライブに大変感動をし、
帰りに、今まで少し目を背けていた、まっすぐに見つめるのが怖かった記事を読んだ。

そうしてわたしはいま、
DJの友達のことを思い出し、
次にどんな曲を書こうか、
なぜだか妙にわくわくしている。

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