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君に伝えたい百の言葉

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あなたに伝えたい言葉が残っている。見失っても、百個積んだ先に何かがあるかもしれない。光を追う者のエッセイ集
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2020年8月の記事一覧

隣の芝生を、見つめている

かなわないな、と思う。 わたしの、上辺だけさらりとつくろうような言葉とは、違う。 物事の深淵に触れ、掴み取り、やさしくあたたかい言葉で回帰させる。 それが、日常に溢れていることでも、どれほど絶望的な事柄だとしても。 傷を、傷だと書くだけなら、誰にでも出来る。 でも、そうじゃない、そういう言葉を書く人を、ときどき見つける。 かなわないな、と思う。 何度も、打ちのめされる。 わたしとは、違う、ということを わたしが、いちばんよくわかっている。 それを、「物事にまじめに向き合

「オーストラリアまで行けば、タスマニアに行けそうだね」

最近は、同居人と一緒に夜更かしをしている。 わたしは、noteの更新をすべて終えたあと、ソファーに沈む。 同居人は、ゲームをしていたり、YouTubeを見たりしている。 昨日は、YouTubeだった。 きまぐれクックさん(うちでは大ファン、遅ればせながらご結婚おめでとうございます)の動画が、自動再生で流されていた。 ふいに流れてきた動画で、きまぐれクックさんはめずらしく、スーパーで買い物をしていた。 様子がへんだな、と思ったら、日本のスーパーではなかった。 (この動画)

少し、立ち止まって。今日、振り返った

はっとした。 そして、安堵した。 かすみさんの記事を読んで YouTubeがよくわからなかった、というかすみさん。 (かすみさんの記事からの引用) 「YouTube」って単語も、どもってしまう位 使い慣れていなかったよ この言葉、すごく共感できるように思えた。 知っているけど、親しくない、というようなものが、わたしにもあるような気がする。 そんなYouTubeを、お友達から「見て欲しい」と言われて、見られるようになった。 YouTubeと”仲良くなった”という様子が書

今日は、夢のはなし

夢を見た。 「怖い夢だったの」 わたしは、昼寝から目覚めたところだった。 同居人は、キッチンで煙草を吸っている。 こういうことは、何度かある。 逃げるような夢、 起きてから、同居人の存在を確かめる。 そういえば夢の中で、わたしはよく逃げ回っている。 今日の夢は、車から飛び降りて逃げる夢だった。 身体を打ち付けて痛むのに、わたしは車の運転手に捕まりたくなくて、更に逃げた。 運転手が、追いかけてきているのがわかった。 そうして「これは夢だ」と気づいたわたしは、ガッと目を開い

友達とわたしは、似ていない

「買い物に行きたい」 家を出る前に、友達から連絡が来たので付き添うことにした。 今日は、友達の家に行く予定だった。 わたしは気が向くと、彼女の家に行くし 彼女は、ごくまれに気が向いたりタイミングが合ったりすると、わたしを買い物に誘った。 デパートの中を、ふらふらと歩く。 付き合いが長いうえに、彼女からの”お下がり”を大量にもらっているわたしは 彼女の好きそうなものには検討がつく。 「あれかわいい」と言えば、「好きそうだね」と答えるけど、 そのうち何割かは「そのスカート、

#8月31日の夜に

8月31日の夜に、泣いたことがある。 小学生の頃だった。 何歳のときか覚えていないけど、うんと小さかった。 それは、夏休みの最後の夜。 いつものように、眠りにつこうとしていた。 そして、ふいに怖くなった。 「明日から、お母さんとお父さんと、一緒にいられなくなる」 そのことが、とても怖くなった。 両親のことが大好きだったかと聞かれると、「ふつうだった」と思う。 幼いときは、「親」という圧倒的な存在が、小さなわたしに色濃く映っていただけで、 ただ、それだけだったと思う。

寒いときには、パーカーを着る

寒いな、と思った。 外は暑いのに、そんなことはわかっているのに。 寒いな、と思う。 そんな日がある。 “そういうとき用”のパーカーが、部屋にはいくつかぶらさがっている。 そのうちのひとつを着込んで、丸くなる。 わたしのからだには不釣り合いな、大きなパーカーが わたしを、包み込む。 「なんだか寒いので、パーカーを着ました」 丸くなりながら、わたしはそう言った。 少し経ってから、「正解」と声が返ってきて、安堵した。 正解なんだ。 そんなことは、わかっている。 もう、知って

記憶は、くらやみを照らす灯りとなる

このあいだ、イケメン風な渡され方でピアスをもらった話をした。 ※(該当記事) わたしがトイレに行っているあいだに、「かわいい」と言っていたピアスを買っておいたくれたはなし あれから1年経つけど、 いまでも、”手に取るように”思い出せる。 あの夜のおみやげコーナー、 くだりのエスカレーター。 わたしはびっくりして、もらった紙袋を、一度落とした。 「わたしは今年の夏、あなたの霊圧を感じながら過ごします」と プレゼントしてくれた当人にも伝えたら、こんな風に返事が来た。 や、

それでも、家族を大切に思っている

お茶さんのnote、「26歳、結婚がこわい」 心臓に、ずしんときた。 すごく、誠実な方だな、と思った。 すごく丁寧に、いろんなものを積み重ねてきて、 同じように「結婚」から続くフェーズでも、積んでゆけるのだろうかという不安は 真摯な生き方から、生まれてくるものだと思う。 (お茶さんの記事からの引用) 「結婚してうまくやらなければならない」「妻として、母として、ちゃんと役割を果たさなければならない」そんな気持ちがどこかにずっとある。そうやって自分自身を自分の「当たり前」で縛

禁断のお菓子

「ねえ、」 KALDIで、後ろを向いていた弟に声をかける。 「これ、はんぶんこしない?」 それは、禁断のお菓子だった。 * この、”禁断のお菓子”とは、大学を卒業して間もないころに出会った。 在学中から、うたとピアノのユニット活動をしていたのだけれど(わたしはピアノ) 一時期だけ、パーカッションの人をいれて、3人で活動をしていた。 下北沢の、ボーカルの家。 彼女の部屋は、いつもモノが少なくて片付いている。 彼女の家に寄ったのは、スタジオ後の打ち合わせだったか、ライブ

約束のピアス

日本橋の、夏の金魚展。 アートアクアリウムには、ここ数年通っている。 今年は8月28日のオープン予定で、 例年より長く、12月31日まで開催されるとのこと。 今年もまた、行きたいな。 水辺と、光が好きなわたしにとっては 至高のときめきを与えてくれる場所で、去年はアマノさんを誘った。 アマノさんも、こういうの好きそうだよなあと思って。 わたしたちは、時々こうやって誘い合う。 ひとりでも行けるけど、相手が好きそうなものを選んで、一緒に行く。 会場の中を、一緒に歩いたり、わた

ある夜のふたり

「あ!」 叫んだのと同時に、カン、カツーーンと乾いた音が弾けた。 「やっちゃった……」 ピアスを落とした。 それも、いちばんなくしてはいけないピアスだった。 セカンドピアス、と呼ばれるそれを、わたしは後生大事につけている。 病院でつけてもらったファーストピアスを2ヶ月間死守したあと、 セカンドピアス、と呼ばれるポストが長く、太いピアスをつけることで、ピアス穴を安定させる。 セカンドピアスは、1ヶ月程度つけっぱなしにすることが望ましい。 という代物ではあるのだけれど、「も

魔法のアロマ(note連続更新130日に連ねて)

今日はもうダメかもしれない と、思う。 よく、思う。 今日もnote書くのかあ、と思う。 noteの連続更新は、130日を越えた。 “毎日書く”という苦しさは、少しずつやわらいできている、と思う。 おやつを食べるように、お茶を飲むように noteと、書くことに向き合えるようになってきた、とも思う。 でも、”始める前の怠惰な気持ち”は、完全に消え去らない。 消え去って欲しい、とも思っていない。 少し、安心もしている。 わたしの怠惰さに、変わらなさに、 それでも突き進

戦争を始める前に、パフェを食べよう

「おはようございます」、その扉をくぐったときの出来事だった。 「あの、今日の打ち合わせナシになりました…」 友達から、”ちょっと来てみない?”と誘ってもらったのは、昨日の夜。 「役に立てるかわからないけど」と、まず言い訳してしまう心には、慣れたものだ。 「せっかくの機会だし、行ってみようかな」と思えるようになった。 出掛けることを決めた。 待ち合わせの30分前、電車に乗りながら別件について「こんな感じでどう?」と、やり取りをしていた。 「ありがとう、詳細はあとでね」 「い